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奈央と出会えたから。<164>

[606]  麻呂  2008-06-03投稿
『奈央ちゃん。ドリフトはね‥‥例えば右に曲がる場合なら、コーナーに進入する直前、左に一瞬ハンドルを切って、キッカケを作り、コーナーに進入して、カウンターを当てながら立ち上がって行くんだ。』



『ふ〜ん‥。キッカケにカウントするの?!』



思った言葉をそのまま口にしてしまったあたし。



『ハハハハハ。な‥‥奈央!!‥‥や、止めてくれ!!

腹痛てぇ〜‥‥。

それ以上笑わせたら‥‥‥
マジで怒るからなっっ!!』



あたしが言った言葉に―\r



何故か聖人がかなり受けていた―\r



あたし、そんなに面白いコト言ったかな?!



『‥‥‥ハハハ。奈央ちゃんて‥‥‥。
聖人が好きになったの‥‥俺、分かる様な気がする。』



巧みにハンドル操作をしながら、大沢先輩が言った。



『大沢先輩。ダメっスよ。いくら先輩でも奈央だけは誰にも渡しません。』



後ろをチラッと振り返ったあたしに、



聖人がバチンッ☆と、ウィンクでの合図。



ドキッ―――\r



『分かってるって聖人。聖人も奈央ちゃんも、俺と新谷にとっちゃ、可愛い弟と妹みたいなもんだ。
俺達は、お前達二人の幸せ願ってるぜ。』



そう言った大沢先輩の横顔は、何だかさっきの軟派なイメージとは違って見えた。

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