星の蒼さは 68
霧の晴れ渡った夕方。
その日の内に西沢の葬儀は執り行われた。
遺体はとうとう見当たらず、棺には銃と私物のみが詰められ、流された。
一つ、また一つと人が艦内に消えていき、ハルも敬礼を下ろし、立ち去ろうとした。
そこには一人たたずむ狩野の姿がある。
最後の一人だと思っていたハルは驚き、そして、声をかけようとしてはっとした。
狩野は肩を震わせ、敬礼も忘れて泣いていた。
「隊長……」
ハルの言葉でやっと自分が泣いていた事に気付いたのか、目元を擦って、しかし、振り向こうとはしなかった。
「立派な最後でした」
「……」
あと少しアメリカ軍の到着が早ければ、もしかしたら西沢は助かったかもしれなかった。
そして、西沢は狩野の事を……
「西沢伍長は…」
「愛していた」
棺が流れた先。海の彼方を見つめ、狩野は目を細めた。
「お互い生きて戦争を生き抜いたら、プロポーズするつもりだった。……とうとう渡せなかった」
棺に入れる事が出来なかったダイヤの指輪を手のひらで弄んで、狩野は泣いた。
ハルは大の大人が声を上げて泣くのを初めて見た。
鉛色は男の涙を取り込んで尚、堂々と眼前を流れる。
その日の内に西沢の葬儀は執り行われた。
遺体はとうとう見当たらず、棺には銃と私物のみが詰められ、流された。
一つ、また一つと人が艦内に消えていき、ハルも敬礼を下ろし、立ち去ろうとした。
そこには一人たたずむ狩野の姿がある。
最後の一人だと思っていたハルは驚き、そして、声をかけようとしてはっとした。
狩野は肩を震わせ、敬礼も忘れて泣いていた。
「隊長……」
ハルの言葉でやっと自分が泣いていた事に気付いたのか、目元を擦って、しかし、振り向こうとはしなかった。
「立派な最後でした」
「……」
あと少しアメリカ軍の到着が早ければ、もしかしたら西沢は助かったかもしれなかった。
そして、西沢は狩野の事を……
「西沢伍長は…」
「愛していた」
棺が流れた先。海の彼方を見つめ、狩野は目を細めた。
「お互い生きて戦争を生き抜いたら、プロポーズするつもりだった。……とうとう渡せなかった」
棺に入れる事が出来なかったダイヤの指輪を手のひらで弄んで、狩野は泣いた。
ハルは大の大人が声を上げて泣くのを初めて見た。
鉛色は男の涙を取り込んで尚、堂々と眼前を流れる。
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