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航宙機動部隊前史後編・5

[548]  まっかつ  2008-06-06投稿
フリースユニオン=宇宙解放連盟が築いたこの重厚長大極まる防衛線は《スーパーマジノ》と命名された。
人類史上最大の規模と堅固さをそれは誇った。
対するギャームリーグはこの破天荒な試みを嘲笑しながらも、やはり既に確保した中央域の占領地を維持する為に機動要塞線を設けてこれに対抗した。
最も、その主体は専属の三個機動部隊と二個固定宇宙軍から成る、いかにも彼等らしい軽量さではあったが。

こうして銀河元号一五二七年以後、大戦は要塞線を挟んで両軍睨み合う膠着状態《トレンチ=ウォー》に陥った。
勿論、小競り合いは頻繁に起きたし、八0光年もの天文学的距離を軍事的に完璧にカバー出来ている筈も無く、《間道》を伝っての迂回・奇襲作戦は何度も試みられたが、それが戦局を覆す事態には中々至らなかった。

そんな中、銀河元号一五二八年・どうにか攻勢に持ち込みたいフリースユニオンは、第二戦線構想をぶち上げた。
中央域戦線のなし崩し的長期化を打開すべく、一挙にギャームリーグ三宙邦本国を直撃し、彼等が展開した主力部隊を現在の戦場から撤退させ、最終的には追撃した中央域方面の艦隊と協力して挟み撃ちにしようと言う、野心に満ちた作戦であった。
その為に編成されたのは、左右二個宇宙総軍・八個宇宙軍集団・各種三三個宇宙艦隊群・一0七個艦隊・その他独立部隊二一六・艦船合計一六一二万隻・内純戦闘艦艇一一五万隻・要員合計一億八00万人・内対拠点制圧用兵力七六0万人と言う膨大な戦力だった。
遠征の為にこれだけの大軍が動員されたのは、やはり史上初めてであった。
当然、準備にはかなりの時間を要し、実際に遠征軍が四つの星系に集結を完了したのは、銀河元号一五三0年新年期を待たねばならなかった。

この大遠征は《偉大なる狙撃》作戦と名付けられた。
作戦開始に先立って、カモフラージュの為にフリースユニオン軍は純戦闘艦艇三0万隻クラスの攻勢を中央域方面で繰り広げ、莫大な犠牲と引き換えに、敵主力の目を釘付けにする事に成功した。
《偉大なる狙撃》作戦は同年第三期一日(修正太陽暦七月六日)に発令された。
四つの星系から出撃した大遠征軍は、二手に分かれてギャームリーグ三宙邦本国手前で合流を果たし、圧倒的な兵力でその中枢を屈服させる予定だった。

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