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箱のなか

[783]  ゆうこ  2008-06-06投稿
「ねえ、香月!いいネタ仕入れたよ〜」

南原香月は、口に突っ込んでいたロリポップをポンッという音と共に口から抜いた。

「何よ?また」

不機嫌丸出しの声に安藤アズサの頬が膨れる。

「今度こそガセじゃないって!聞いてよ」


二人はこの高校でもとりわけ…マイナーな倶楽部を取り仕切る敏腕ジャーナリストだ…と自負している。
その名も

「ミスオカ倶楽部」

決して丘の似合う美少女を選ぶミスコンではない…ミステリーとオカルトを略しただけの簡単な名称だ。
そして会員は二人。
つまり香月とアズサで全員といういかにも淋しい同好会なのだ。

放課後、誰もいない教室に初夏の日差しが降り注ぎ香月は汗ばむ額をタオルで拭いつつ…目の前に着席したアズサを睨んだ
「あんたさぁ…こないだもそういって『触ると必ず便秘になる地蔵』ってネタ持って来たじゃん。あれ程、あんたがわからないって思った事なかったね、あたしは」

アズサはそう?と、どんぐり眼をしばたたきニッコリした。
この笑顔がくせ者で、聞かれたくない事も話してしまいたくなる親しみやすさなのだ。
もちろん、付き合いの長い香月には通用しないが
「…で?今日は何持ってきたのよ。明後日にはブログに載せなきゃならないんだからちゃんとしたのにしてよ?」

「へいへい。あのさあ…最後まで聞いてよ?コックリさんの…」

香月はパンッと両手を打ち合わせ
「ダメ」
有無を言わさない、クラスの男子なら震えあがる視線にも、アズサには素通りらしい。

「なんでよ〜!だから最後まで聞いてって…」

香月は首をふる。

「古い!前に特集した!うけなかった!他に理由いる?」

「ウケる!今回は絶対絶対ウケるっ!これ見てよ…これ」

ばんっと机に置かれたのは一枚の手紙。

「…なに?」

「読んでみて」

アズサは嬉しそうにニッコリ笑った…。

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