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航宙機動部隊前史後編・6

[488]  まっかつ  2008-06-10投稿
銀河元号一五三0年第四期一0日(修正太陽暦一0月一五日)、フリースユニオン=宇宙解放連盟軍の大遠征艦隊は、ギャームリーグ三宙邦本国との勢力境界線に遂に進出した。
それは正に史上最大の作戦だった。
第四期二二日(修正太陽暦一0月二七日)よりいよいよ彼等は総攻撃を開始し、国境は易々と突破された。
そして、彼等は始めてギャームリーグ三宙邦有人星系群の外縁にまで到達した。

だが、ギャームリーグはここに、要塞化された三つの有人星系を中心に、堅固な備えをしていた。
ここで、侵攻側のフリースユニオン艦隊内で意見が分かれる。
正面突破派と迂回派だ。
だが、論争自体はすぐに決着が付き、彼等はギャームリーグ要塞群を一挙に粉砕しようと襲いかかった!

《アイアン=トライアングル》の戦いは、都合七週間に及び、フリースユニオン軍は二千回を越える波状攻撃を仕掛け―壊滅的打撃を被った。
ギャームリーグは三星系の恒星エネルギーを時空転送・偏曲システムで自在に集中・増幅させて敵を焼き尽す恒星間戦略砲《三鬼眼》を中心に、艦も兵士も選りすぐりのエリート部隊《千隻艦隊》・摩擦反応炉を備えた三列に及ぶ軍用小惑星帯に据え付けられた三千門に及ぶ亜光速実弾砲台等、とんでもない火力と防御力をこの要塞群に施していたのだ。
しかも、攻めあぐねたフリースユニオン軍の後方からは、精鋭の三個機動部隊が満を持して襲いかかる!
ギャームリーグお得意の包囲殲滅戦が始まった。
フリースユニオン=宇宙解放連盟軍は、遠征艦隊の過半に及ぶ九四0万隻・七一00万人を喪失し、失意の内に本国に撤退を余儀なくされてしまった。

歴史的な大敗に、フリースユニオンは一時は確保しかけた軍事的優勢をあっけなく喪失し、ここに両陣営の均衡が本格化していく。
大戦の長期化は明白となり、いよいよ総力戦・消耗戦の態勢が支配する様になって行った。

この状況は銀河元号一五三六年に至るまで、変わる事は無かった。
だが、ここに一人の英雄がフリースユニオン側に突如として現れる。
《黒い妖星》の異名を持つガニバサである。
彼は、ギャームリーグ機動部隊を模倣した新宇宙軍《ネオフリート》を創設し、中央域戦線で暴れ回った。

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