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死体放棄少女・第二部・一

[612]  黄粉  2008-06-28投稿
あの体育館での事件があってから二日後、私は病院のベッドで目を覚ました。

隣にはお母さんがいた。
お母さんは、私の意識が戻ったのを確認すると、泣きながらお父さんと離婚したということを私に告げた。

最初は悲しかったが、途中から、私は吹っ切れた。これは現実なんだから・・・

「だからね、優子は今日から綾瀬優子になるんだよ。」

そうだ。私は前まで佐藤優子だったけれど、お母さんが再婚してこれからは綾瀬優子になるんだ。
変な感じ。

苗字が変わっただけなのに、自分自身も変わってしまった気分だ。

「・・・うん。分かった綾瀬優子ね。」

お母さんが、先生に私の意識が戻ったということを報告しに病室をでていった。

私一人だけになった病室は静かで、真っ白だった。

そういえばあれから麻里奈はどうなったんだろう。テレビや新聞ではまだ捕まってないみたいだし・・・

あと、あの男はどうなったのだろう。うまく逃げたのだろうか無事だということは確かだ。

「結局名前聞けないままだったな・・・。」

私はベッドに沈み込み、今までの出来事を振り返った。


「優子。」

「え・・・?」

私は驚いた。

ベッドを囲んだ白いカーテン越しに、少女の声で聞こえた。

「意識、戻ったんだ。」

私は少女の名前を呼んだが、少女はそのあと何も言わず、病室を出て行った。

私は思わずベッドから身を乗り出した。




「麻里奈・・・」



それしか私の口からは出なかった。

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