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星の蒼さは 86 第六話    天使再臨

[459]  金太郎  2008-06-30投稿
(もう終わったんだよ、京一。てめえ等、地球人がのさばる時代はとっくにな)

腹部の白熱刀に力を込め、二ノ宮は狩野に語り掛けた。

「なぜだ吟次。お前は誰よりも地球と月の関係悪化を憂いていたのに」

いつ爆発するとも限らない危険な状態だが、狩野は出来る限りかつての親友と話をしていたかった。

(おっ始まっちまったもんはしょうがねー。後は自分が死なない様に且つ、軍人としての筋通すにはてめえ等を皆殺しにするしかねーだろが)

「保身か…堕ちたな。吟次。恵美や死んだ優子が知ったら悲しむ」

あの頃は誰かが“事”を起こし、その度に他の三人も共犯に仕立てあげ、ほとぼりが冷めたら四人で近くの定食屋に食べに行く。

そんなあの頃が懐かしかった。

(…!……死んだのか優子は)

「ああ、立派な最期だった」

(そうか……口惜しいな)

自分たちの勝利の為、幽霊艦隊と共に太平洋の荒波に沈んだ西沢優子。
彼女もまた、多感な青春を一緒に過ごした仲間の一人であり、狩野の最愛の人であった。

一瞬押し黙り、その後、二ノ宮は言い放った。

(……そろそろ死ね)

腹部の白熱刀が更に真っ赤に輝く。
白熱刀は敵に突き刺した後、一時的に熱を数倍にはねあげて敵を爆散させる種類もある。

狩野は覚悟した。


だが、目をつぶる一瞬前、目の前を蒼い光がほとばしった気がした。
驚いて目を開けると、そこには衝撃的な光景が広がっていた。

見渡す限りの光。

それは明るく、赤い月よりもなお明るく。

それは全て、月軍WWダークキャットやケイロンが化した爆発の光だった。

手元のレーダーに映っていた敵を表す赤いマーカーが放射線状に次々と“消滅”の漢字二文字を残して消えていく。

(な……んだと……?)

二ノ宮の駆る蟒丸(ウワバミマル)も呆然としている。

「蒼い……光……」

それは優しく、激しく、“希望”となって地球軍を勇気づけた。

(何なんだよ!あのWWは!?)

WWだと!?この火力は間違いなく要塞砲だと思っていた。
カメラアイを最大までズームして、驚愕した。

蒼い光を纏ってこちらに向かってくるWWは間違いなくあの天使だったからだ。
それは真夜中のニューヨークの上空に突如、圧倒的存在感を持って両軍の前に現れた。

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