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ごめんな…

[433]  FANG  2008-07-03投稿
今日、今まで大事にしていた人が死んだ。
それは今日の夜だった。
11時ぐらいにその通告は来た
「〇さんのお宅でしょうか。」
「はあ…。」 「今すぐT病院に来て下さい。」
最初は意味が解らなかった。
病院に着くなり、俺は病室へ向かった。 そこには、泣きじゃくる姉貴と、手を必死に握る親父がいた。
「一馬…。」 親父が弱々しい声で俺を呼んだ。


そう、母さんが死んだ
急性の肺ガンでこの世を去ったのだ。
「母さん…!」 俺はまだほんのり暖かい母さんの手を握る。 小さいけど、暖かくて、優しい手だ。
親父とも仲が良かった。 俺にも優しくしてくれた。
でも昨日、俺は入院中の母さんにひどい事をしてしまった
母さんが俺に服を作ってくれた。
赤のシャツに、かわいい猫のロゴマークのアップリケ。
俺は格好悪いから、すぐに母さんに投げ返した。
「外で着れないだろ!」
母さんは寂しそうな顔をして、服を拾う
後に俺は親父に殴られた

その翌日に謝ろうとした
でも
母さんはいない
謝れない
母さんが死んで、俺は悲しんだ
謝れなくて
寂しくて
受け入れられない死があって
姉貴も泣いている

あの赤いシャツがベッドの横にあった



三日後、葬式が終わった
「大丈夫?」とか「家事したるか?」とか「ご飯は?」とか色々と隣人さん達に心配された
母さんの人柄は最高だったのだ。

墓の前まで行って、俺は親父と一緒に手を合わせていたた あの赤いシャツを着ながら

「…1番死んではいけない人が死んでしまったな…。」親父はつぶやく
「うん。」力の無い返事を返した
「……謝れなかった。」
「それの事か。」親父は赤いシャツを見た 「すげえ後悔してる。」「一馬……。」 親父は少し間を置いた。
「母さんは多分死ぬのをわかっていた。だからせめてお前にその赤いシャツを……。」
俺はうなずいた
「きっと…そうだね。」




母さんはいない

赤いシャツはある

だから俺はいつも母さんといる
この赤いシャツを着る事が唯一の償いかもしれない。


だから…今なら言える


俺は墓の前に立ち、空を見上げた




「ごめんな……。」

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