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井上の憂鬱2

[589]  坂崎金太  2008-07-04投稿
俺はファーストフード店に行った。
昨日も行ったのだが、あまり気分が良くなかったがために、食べるだけで帰ったのだ。
主にその原因は井上にある。
井上は、俺の知人で後輩で、昨日の夜にここの遊具でおかしいことをしていた。
十分気分を阻害するに値することだった。
が、まあどうでもいい。どうせ今は昼間で土曜日だ。さすがに来ている訳がないだろう。
「ガキの笑い声聞きながらゆっくりしてよう」
そう思って、店に入った。
予想通り、子供の声で賑やかになっていた。
ただ、保護者たちの様子がおかしい。
気にしないのが一番である。コーヒーを啜って、席にもたれる。
「はいタッチ!さとしお兄ちゃんがおに〜」
高い女の子の声。
微笑ましく思いながら、コーヒーを啜る。
「こっこまっでおっいでーさとしにーちゃん!」
高い男の子の声。
微笑ましく思いながら、コーヒーを啜る。
「よーし、お兄ちゃんがすぐにタッチしてやるぞー!」
低い男の声。
おぞましく思いながら、コーヒーを取り落とす。
まさか……井上!?
…………だった。何度確認してもそうだった。勘違いだと信じたかったが現実はそうさせてはくれなかった。
……………………どうしよう、取り返しがつかない。
あの遊具の中で子供達に混じっている汚物は一体何がしたいのだ?
俺は何もできず、したくもないから、この場を去った。
とりあえず、井上を俺の記憶から抹消しよう。
そう、心に誓った。

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