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頭脳と頭脳(10)

[560]  未熟  2008-07-04投稿
プラザ万葉付近にようやく着いた。
哲史は、妹から電話があり、話をすましてから後を追ってくると言っていた。
あいつは若干シスコンだし、たまにしか妹と話せない。
だから、どんな些細なことでも、妹を優先する。
当然、俺のことよりも。
みんなはバカにするかもしれないが、事情が事情だし、俺はいいと思っている。
だから、行き先だけ告げてわかれた。
時計の針は、三時半をさしている。
急がないと。
しかし、プラザ万葉の付近は、事件を一目見ようとするやじ馬でいっぱいだった。
また、当然に封鎖されており、中には入れない。
だが中にようなどない。
必要なものは外にある。
警察官に走って近付こうとしたとき、人波の中に、見たことのある顔がいた。
「おい!あんた!」
離れた所にいるそいつに、大声で話かける。
しかし、俺の声は聞こえてないようだ。
「くそ!またかよ!」
悪態をつきながら、人波の中を進む。
しかし、見失った。
探すか?いや、時間がない。
偶然かもしれない。
見つけても使えないかもしれない。
わずかな可能性よりも、確実な手掛りのほうが大事だ。
俺は、踵を返して、警察官のもとへ向かった。
「君、これ以上中には入れないよ。」
当たり前だが静止される。
少女がこの奥にいなければ、入らなくてもいい。
俺は涙目になりながら、
「僕の妹が中にいたんだ!」
演技をはじめる。
「妹は、どこにいるんです!? お願いですから教えてください!」
さあ、ひっかかれ。
「そうでしたか。あちらに被害者がいますので、どうぞ。もしあちらにいないようでしたら、言ってください。」
少し目を細目、あわれむように言った。
向こうにいなければ、この世にはもういないのだろう。
しかし、うまくいった。
「ありがとうございます。」
俺は被害者達の元に走っていった。
そこにはビルや、中央区の規模から見れば少いが、俺の想像していたより、多くの人がいた。
警察官に話をきかれていたり、怪我を見てもらったりしている。
ニュースで言ってたとおり、軽傷者しかいない。
病院に行かなければならない人はいなかったようだ。
さてここからだな。
女に片っ端からきいてる暇はない。
なら、あちらからでてきてもらう。
俺は携帯をとりだし、ムービーを再生した。

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