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航宙機動部隊前史後編・11

[585]  まっかつ  2008-07-05投稿
ギャームリーグ陣営も太陽系死守の構えを見せた。
この一帯を担当するB作戦司令部(機動部隊二個・固定宇宙軍一個基幹)に、更に第一一機動部隊を中核としたS機動部隊を増派し、純戦闘艦艇七0000・兵員三四00万にまで戦力を充実させ、名将ホーゼン戦闘幕僚長が指揮官に就いた。

太陽系攻防戦は同年第四期六七日(修正太陽暦一二月七日)に火蓋を切った。
フリースユニオン軍は、物量と火力を活かして徹底した波状攻撃を繰り返した。
ギャームリーグ側もある程度それを見越し、敵攻勢前面にアステロイドベルトから持って来た小惑星群を配置して、堅固な要塞線を構築していたが、フリースユニオンの攻撃の凄まじさは、彼等の想像を絶する物だった。
フリースユニオン軍の狙いは、敵を直接叩く事ではなく、まずはその疲労を誘い、統制に綻びを生じさせる事に有った。
一早くそれを見抜いたホーゼン戦闘幕僚長は、要塞線を放棄の上自爆させて、その隙に全軍を本物のアステロイドベルトに集結させて、戦線の再構築を図った。

フリースユニオン機動部隊はガニバサ大将の進言を入れて、全軍を二つに分ち、主力は引き続きアステロイドベルトを固める敵本隊を、別動隊は反対側に回り込み、太陽系の首都火星を押さえるよう作戦を変更した。
そして、ガニバサは自ら別動隊の指揮に就く。

アステロイドベルトを巡る闘いは、フリースニユオン軍の思惑通り、消耗戦の様相を呈し始めた。
純戦闘艦艇比率で五0倍にもなる大軍を相手に、ギャームリーグ機動部隊は獅子奮迅の活躍を示し、それはもう鬼神の域に達していた。
一隻が撃沈されるまでに敵を二0隻は葬り去り、その兵士一人を倒すのに、フリースユニオン側は一個小隊を失わなければならなかった。
しかも、ホーゼン戦闘幕僚長の計画によって、陥落しそうな小惑星は内部エネルギー炉を暴走させて出来るだけの敵を巻き込んで次々と自爆させられた。
僅か五日でフリースユニオンは一六五万隻の艦船と七000万名の要員を失った。

だが、これは奇襲を成功させる為の壮大な陽動だったのだ。
秘かにアステロイドベルト反対側に到達したガニバサのネオフリートは、敵の警戒ラインを素早く突破し、丁度すぐ近くまで公転して来ていた火星を指呼の間に収めた。
ここに太陽系攻防戦の帰趨は決した。

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