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奈央と出会えたから。<179>

[601]  麻呂  2008-07-11投稿
お母さんだ!!


カチャリ――


『あら。みなさんいらっしゃい。』


リビングのドアを開けた母は、両手いっぱいに何処かのお菓子屋さんの、クリスマス用のラッピングをしたお菓子をたくさん持っていた。



お母さんてば、サンタクロースじゃないんだから!!!



そして、その荷物をテーブルの上にさりげなく置くと、にっこりあたし達に向かって微笑んだ。



あたしは、母がそろそろ帰って来る予感こそしていたものの、思わずこう尋ねたんだ。



『あれ?!お母さん仕事は?!』



『今日は母さん、スナックはお休みの日だもの。』


母は、コートを脱いでハンガーに掛けた。





『あの――。』



母とあたしの会話が終わると直ぐに聖人が口を開いた。


『初めまして。僕、奈央さんとお付き合いさせていただいています、北岡 聖人と申します。今夜は遅くまでお邪魔させて頂きまして、ありがとうございました。』



聖人は母に、凄く真面目な顔してそう言ったんだ。


こんな真面目な顔した聖人を見たのは、あたしも初めてかも。



ぷぷぷっっ‥‥。


可愛いっっ‥‥。


もしかして聖人、緊張してる???





サトル君とミズホさんも続いて挨拶してた。


『僕は高橋サトルって言います。奈央ちゃんより学年2コ上で今3年なんですけど、聖人と僕が同い年なんで、学校ではそのよしみで仲良くさせてもらっています。』



『初めまして。こんばんは。私は高橋君と同じクララスの山下ミズホって言います。奈央ちゃんと一緒にいると、まるで妹ができたみたいで‥‥。仲良くなれて本当に嬉しいです♪』





『あらあら‥‥。皆さんいつも奈央と仲良くしてくださってありがとうございます。

奈央から聞いているかどうかは分かりませんが、うちは母子家庭ですので、私が働かなければならないんです。

今日は何のお持て成しも出来なくてごめんなさいね。』



母は申し訳なさそうにそう言った。

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