携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 星の蒼さは 97

星の蒼さは 97

[561]  金太郎  2008-07-17投稿
傍らにハルの心地よい〔蒼〕を感じながらも、アキの意識は少し向こうに向いていた。

(だから薬。覚醒剤位あるでしょ?もしアレなら私どもで用意させていただきますが)

(冗談じゃない!)

大声をだしたのは滝川艦長。隣でなだめるのは荒木副艦長。
そして二人に向かって話しているのは、藍お姉ちゃんに違いない。

あんな言い方をしたら怒らすに決まっている。下手な敬語と相まって、彼女は人一倍相手と話すのが苦手だ。

そんなやり方でなくても自分に会いに来るのは簡単なはずだが、面倒事が大好きな彼女はああやって人をおちょくる。

アキは周りを〔見渡して〕みた。

すぐ隣にまばゆいばかりの蒼い光、ハルが自分の手を握りながら寝息を立てている。

ドアの向こうにはじんわりと鈍く輝くいくつかの光、そしてその間を抜けるようにして、ドアを開けることなく一つの藍色の光が入ってくる。


眩しッ!!何よ?こいつの〔色〕!


色は形を成して藍の姿になった。


久しぶり、お姉ちゃん


ん、元気みたいね


うん。


今、居眠りをしているが、起きているとしても当然ハルにはこのやりとりは全く見えない。
せっせと汗を拭いたりアキの世話に働いてくれた彼の手前、和気藹々とお喋りをするのも悪い気がするが、身体の方は動かないのだからしかたがない。



これが好み?


ベッドに腰掛け、うつ伏して眠るハルの頭をこづいて藍は笑った。


そんなんじゃ…!


あら、嫌?じゃあ、私がもらっちゃおうか?


ハルの首筋を人差し指で優しく撫でて、藍がハルの耳元で囁く。

もちろんハルには触れられないが、ハルの肩がピクンと揺れた気がしてアキは慌てて引き離した。



冗談、相変わらず可愛いわね


バカ!


それに、こいつはあなたにしか合わない。あなたが選んだ〔色〕だから


赤く膨れたアキの頬に触れて今度はアキの耳元で囁く。


それにしても無理したわね。あの子の〔色〕は半端じゃなかったでしょう。


アキが受け入れた途方もないアポロの怒り。

全ての色に染まる〔純白〕はアポロの濁り、煮詰まった血のような〔赤〕を余すことなく吸い尽くした。

その反動は余りに大きく、アキはこの色を浄化するまでの間、ほぼ全ての生命器官を停止しなければならなかったのだ。

なぜこんな事に?

アキは心のカサブタをそっと剥がしてみた。

感想

感想はありません。

「 金太郎 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス