携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 星の蒼さは 100

星の蒼さは 100

[474]  金太郎  2008-07-23投稿
月立軍事研究所、通称〔ティンカーベル〕は首都アルテミア郊外の岩石砂漠の中心にポツリとある。

アキは簡単な身体検査を受けた後、五人程入れる部屋に容れられた。

そこで出会ったのが、アポロや李桜美(リ・ロウミン)、ユアン、そして藍(アイ)姉さんだった。

「新入り?ついてないわね、あなた」

少ない荷物を抱えて入ってきたアキに対する、これが藍姉さんの第一声。

「私は藍、室長よ。よろしくね」

ユアンも桜美も優しくアキに接し、色々な事を教えてくれた。

いじめられない方法から、監督官に対するイタズラの方法まで様々。

すぐに仲良くなった二人とアキはなかなか楽しい収容生活を送った(ただ、アポロだけはずっと窓の外を見ていてなかなか親しくなれなかったが)。

ただ、食堂や、広場にいる子供を見ると一つ気になることがあった。

そこにはあらゆる人が集まっていたが、いずれも若年。
まるで小中高一貫の学校にでも来たようだ。
桜美やユアンは気が付かなかったという。

藍に同じ話をしたとき、藍は淋しそうな顔をし、尋ねた。

「知ってる?ピーターパンっていう話。ネバーランドっていうお伽の島があって、そこには子供しかいないの」

「知ってる。ニ世紀位前のディズニーの映画でしょ?ディズニー古典館で見たことあるよ」

「……じゃあどうして皆子供なのか知ってる?」

考えた事もなかった。
なぜ?不老不死だからだろうか?

「それはね。妖精の〔ティンカーベル〕が大人になった住民を殺してるから」

「迷信だよ!」

「嘘じゃないわ。そしてここは」

一度言葉に詰まり、再び口を開けた藍の顔は恐怖に凝り固まっていた。


「〔ティンカーベル〕」


その日の夜。隣の部屋が騒がしかった。
部屋の室長が呼ばれ、連れていかれた。
必死に抵抗していると思われる激しい音と、たまに聞こえてくる肉を打つ鈍い音。

ネバーランドの話が頭から離れないアキはその一部始終を聞いていた。

耐え切れずに、助けるために、ベッドから飛び出したアキを止めたのはアポロだった。

「もうダメだよ」

何かが引きずられていく音がアキ達の部屋の前を通ってゆく。

「君が来る前もそうだった。ヘンリーさんがつれていかれたんだ」

「じゃあ私は…?」

「穴埋め」

目覚まし時計の蛍光色に照らしだされたアポロは泣いていた。

「次は凪楽姉さんだ」

感想

感想はありません。

「 金太郎 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス