『メアリー・ゴールド』その名は世間知らずのソラでも知っているほどの人物。ソラが知っている中で最強の空賊だ。

『破滅の魔女』の名で通っている空賊で、その名のとおり襲った船をことごとく破壊して去っていく大空賊団だ。


「今さら何しに来たんだあのクソ女！」


キャプテンはマミーに殴られた頭をさすりながら飛び起きた。


「今さらって…キャプテン『破滅の魔女』と知り合い!?」


ソラは思わず声を張り上げてしまった。どうしてもあの大物空賊とエロ船長との共通点を見いだせなかったからだ。


キャプテンはソラの質問などそっち退けで窓の外を覗いた。


「キャプテンとメアリーは『ハンター』時代のパートナーよ。まぁ、元恋人でもあるわね」


『ハンター』とは依頼を受け報酬を貰うスカイウォーカーだ。


ソラにとって二重の驚きだった。まさかあの破滅の魔女とパートナーで恋人同士だったとは…


そうこうしているうちに無理矢理船を横付けされたのかノアが大きく揺れた。


「相変わらず大胆ねぇメアリーは…」


マミーは呆れ顔で、でもどこか楽しそうにしている。


キャプテンは怒った様子で急いで甲板へ出て行きそれを追ってソラも外へ出た。


案の定横付けしていたバカでかい船は黒い船体で所々美しい装飾が施されている。


「久しぶりだなダンテ！」


逆光でよく見えないが女性の影が船の上で仁王立ちしている。


「久しぶりじゃねぇだろメアリー！船に傷つけた分弁償しろ！」


女性はツカツカとヒールの音を響かせながらノアに飛び乗ってきた。


そのときに気づいたがその女性は長いストレート金髪の美しい女性だった。


ソラの想像では魔女と言うだけあって目つきの悪い鷲鼻のおばさんを想像していたが全く違っていた。

女性にしては長身で、きれいな鼻筋にパッチリした目の色はとても綺麗なグリーンだ。


ソラが知っている中で最強の空賊の船長は、ソラが知っている中で…、いや、世界一美しいのではないかと思わせるほどの美人だった。


「そんなのいつもの事だろ？それより何年ぶりだ？マミーも一段と美人になったな」


「そう言ってくれるのはあなただけよ。久しぶりねメアリー」


いつの間にか甲板に出てきていたマミーは嬉しそうに微笑んだ。

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