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Forgot-8

[406]  黒和  2008-07-27投稿
気がつくと、彼は自室のベッドに横たわっていた。現在午前5時、起きるにはまだ早い。
結局、彼は別れを告げることは出来なかった。それで良かったのかもしれない。
夢とはいえ、母親を傷つけるかもしれなかったからだ。

それでも、彼は悔しくて仕方なかった。せっかく、やり直すチャンスが巡ってきたのに、と。
それが悔しくて仕方ない。


彼は、自分は泣くだろうと思った。
亡くなった母親を悼み、
別れを告げられなかった自分を不甲斐なく思い、涙を流すかと思った。

しかし、彼は泣かない。
いや、泣けないのだ。
既に彼にとって、母親とはその程度の存在になってしまったのだ。

必死に母を思い出そうとしたが、記憶の中の姿は霧の中ようにボンヤリしている
先刻 巡り会えたハズなのに……。

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