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星の蒼さは 102

[463]  金太郎  2008-07-28投稿
藍の誕生日前日。
研究員が三人訪ねてきた。

「1205番。一緒に来なさい」

藍のナンバーを呼ぶ。藍は返事をせずに立ち上がると部屋を見渡し、深呼吸して出ていった。

ユアンも桜美も、特に気にした様子はない。
だが、これから始まる〔テスト〕の存在を知るアキとアポロは気が気ではなかった。

アキはアポロに目配せして立ち上がり、藍を追い掛けた。

「何ネ!?」

ユアンと桜美が止めるのも聞かずに走った。

優しく接してくれた「藍お姉ちゃん」。守ってみせると心に誓い、アキはアポロの背中を追った。






「こんなところがあったなんて……」

どうやって来たのか覚えていないが、アキとアポロはやけに広い、壁も、そして様々な器具も真っ白な明るい純白の部屋に着いた。

その先に藍はいた。

やはり真っ白な服の研究員に囲まれ、真っ白な服を着せられている。

「ねぇ、どうするの?」

「言ったでしょ?藍姉さんにはテストがあるって」

藍の姿を常に捉えながらアポロは言った。

「テストは簡単だよ。今から藍姉さんに色々な虫とか、動物。果ては人間までのたくさんの生き物が見せられる。それから〔色〕を感じ取って何色か試験官に言うんだ」

それからアポロは

生物には必ず〔濃さ〕に違いはあれど固有の〔色〕が存在し、それを自分達〔能力者〕は〔送信〕するか、〔受信〕するかに分かれているという事を小声で聞かせた。

「藍姉さんは事前調査で、〔受信者〕に覚醒する可能性有り、の見立てが立てられている。そして幸運にもアキも〔受信者〕に覚醒したんだ」

そしてアポロはここ数年必死で考えてきたという作戦をアキに話しだした。






「さぁ、何色に見える?」
籠の中のカブトムシを指差して、試験官が冷たい目でこちらを見ながら質問した。

藍の覚悟は出来ていた。わからなければ最悪このまま何かの人体実験にかけられて片っ端から内臓を持っていかれるか、楽に死ねるとすれば銃殺か。変に試験官に興味を抱かれているとすればこいつらの慰みモノにされるか……

それは嫌だと思いつつも、そうなるかもしれないと、隣でニヤける大柄な男の試験官を見ながらおもう。

せめて最期は潔く。

わかりません。

そう喉まで上がってきて、何かに気付いた。

緑!緑だ!藍姉さん!

それは力強く、眩しく、頼もしく藍の耳、目に、全身に響いた。

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