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僕は君の未来を永遠(トワ)に。<56>

[372]  麻呂  2008-07-29投稿
* * * * * *

ユキちゃんのお見舞いに行く当日までに、


数日前の出来事が、

まるで夢でも見ていたかの様に、あっさりと僕の目の前を通り過ぎて行った。


彼女と会うのも、あの夜以来だった。


あの夜の事を、彼女はどう受け止めているだろう。


単なる人恋しさ?!

お互いの寂しさを紛らわせる為?!


少なくとも、あの夜の僕達は、お互いに激しく求め合っていた。


まるで―\r


何かの呪縛から解き放たれた解放感から、


封印された引かれ合うお互いの気持ちが、


一気に爆発した恋人同士の様に――


十七年間封印して来た僕の一方通行のこの思いは、


“彼女に届け”と言わんばかりに彼女の中で、一気に弾けてしまったけれど、


傷心の彼女の心が癒えるまでに、


まだ少しは時間がかかると思うから――

“ちんちくりんのハゲオヤジ”のコトを好きだった彼女が、

これからもやっぱり“ちんちくりんのハゲオヤジ”のコトを忘れるのに時間をかけて――


勿論、その間の僕の気持ちは、


行きたい場所が分かっていても行けない宙ぶらりんのままだけど――


それまで、この思いは少しの間、静かに胸にしまっておく事にするよ。


まだハッキリと言葉で伝えてはいない、この気持ちを。





『ユキちゃん、あたし達がお見舞いに行ったら、きっとビックリするわよ!!』


『うん!!そうだね!!』



それから、待ち合わせ場所で落ち合った僕達は、


ユキちゃんに早く会いたくて、病院へと急いだ。

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