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航宙機動部隊前史後編・14

[566]  まっかつ  2008-08-03投稿
元々国力で劣るギャームリーグは、専ら経済と人的資源を中央域に依存して戦争を進めていた。
本来なら圧倒的な質を誇る彼等の機動部隊は、確かにその期待を裏切らない働きを示し、今回も数にして百倍するフリースユニオン軍を沈めに沈めまくった。

だが、やがてそんな彼等にも息切れが訪れる。
《フライング=ウォール》作戦開始時点で、ギャームリーグは四八個機動部隊の内、三二個を中央域方面に展開し、その戦力は一個当たり純戦闘艦艇一八000隻と規定されていたが、実質配備されていたのは一五九00隻辺りのラインを推移していた。
その稼働率は七二%であり、すぐに動員出来た艦艇は一個機動部隊で約一一000隻と言った所だったのだ。
これが同年第四期に入ると、実質配備数は一個機動部隊平均一三四00隻・稼働率六七%、翌四二年初めには前者が一0六00隻・後者で五九%にまで激減を来たしている。
単純に考えても、動員可能戦力は六割を下回ってしまったのだ。
フリースユニオンの仕掛けた消耗戦の効果が、じわじわとギャームリーグの足腰を弱め始めたのは明らかだった。

当然ギャームリーグは戦力の補充これ努めた。
本国での艦船・兵器の増産始め、兵員の徴募・資金調達と、考え得る策は全て打ったのだが、戦局の挽回に繋げるには敵の勢いが強過ぎた。
だが、艦船の不足より彼等を弱らしたのは、増え続ける兵員の損失を補充し切れない事だった。
訓練期間が短縮され、徴募条件の相次ぐ引き下げは、確実に前線部隊の質を下げた。
銀河元号一五四二年第三期には、ギャームリーグ中央域方面軍全将兵の内、一六歳以下の少年兵の率は一割を越えた。
だが、これでも足りない。
遂にギャームリーグ大司令部は禁断の策に手を付けた。

同年第四期・ギャームリーグは中央域の占領諸国にも兵員の供出を要請するに至る。
今まではギャームリーグがその軍事力で中央域を守り、中央域諸国はその見返りとしてヒトとカネを提供すると言うタテマエが成立していたのだ。
そのタテマエを、押し付けた側が勝手に破ったのだ。
翌四三年始めには、ギャームリーグ全軍の《外人》比率は、これも一割を越えていた。
流石に前線に配備するのはまずいので、その大半は本国始め後方に回されたのだが、このタブーですら同年末には破られた。

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