携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ミステリ >> 未来をみる少女

未来をみる少女

[660]  黒風呂  2008-08-03投稿
彼女は言った。
『未来は変えられない。』と。
俺はそんなこと信じない。
彼女はいつも未来を見ている。いや、見てしまっている。
それから彼女は一冊のノートに未来を書き写している。
俺がそのノートをのぞいたことはない。
まぁ、のぞきたくもないが。

彼女が未来を見えることは俺くらいしか知らない。


ある日のことだ。
突然彼女は言った。
『私、今日死ぬの』
俺はいきなりのことでよくわからなかった。
でも彼女は冷静だ。きっと何日も前からこの日を見ていたのだろう。
俺は彼女に言った。
『未来なんて絶対なはずがない!そう言ってるだろ?』
別になんの根拠もない。ただ、言ってみただけだ。
『未来は絶対よ』
『じゃあ、だ。例えば俺がここで。』
俺はいきなり逆立ちしてみせた。
『今俺がこの場でとっさにやった逆立ちが予想できたのかよ?』
できるはずがない。と俺は思ってた。
『ええ。』
彼女の答えはそっけなかった。
俺もそれを聞いたとき、彼女は今日死ぬのだと思ってしまった。


きっと今、予言のその時がきた。
彼女が歩道を歩いているときだ。
前からトラックが一台。彼女は静かに目を閉じていた。

『おきろ!』
『え?』
彼女は助かった。
俺が助けた。
でも、俺の方は重傷だった。
俺は普段、人助けなんて絶対にしない。ましてや人のために傷つくなんて絶対にありえない。

俺は、ありえないことをしてみたんだ。
だから未来は変わった!彼女は助かったんだ。

『ありがとう。』
彼女はそう言って、家に帰って行った。


その夜だ。俺は病院で一冊のノートを拾った。
彼女のだ。
俺ははじめてそのノートをひらいた。
『ああ・・・』



夜が明けた頃、近くの川で彼女の遺体はみつかったそうだ。

感想

感想はありません。

「 黒風呂 」の携帯小説

ミステリの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス