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飛んでも世界

[561]  猫空  2008-08-11投稿
第一話、世の中暑い

「世の中暑い」
少女は、外に出たとたんにこう叫んだ。
彼女の名は飛河清美(ひかわきよみ)。
本編主人公。
清美は自転車に乗り、川沿いを走る。
ここ、猫空神国(にゃんくうしんこく)も今は夏真っ盛りで、あちらこちらから蝉の声が聞こえてくる。
十分程走ると、神社が見えてきた。この神社が清美の目的地だ。
『神天神社』この神社の名だ。
清美は無料駐輪場に自転車を停めると、神社の中に足を向けた。
鳥居をくぐると、巫女姿の少女が現れた、彼女はここ神天神社の一人娘の神天由理香(しんてんゆりか)である。
「あ、飛河さん、いらっしゃい、世の中暑い」
由理香が清美に挨拶するしかし、様子が変だ。
「どうしたの?」
「実は、御神籤売り場のエアコンが壊れて」
「ぬあんですとおー」
清美の叫び声が境内にまで届いたという。

「あ、飛河さんいらっしゃい」
清美は由理香と共に御神籤売り場に来ると、見知った顔があった。
由理香の従姉妹、神地麻井奈(しんちまゐな)と神人江理奈(しんじんゑりな)である。
「あら、天地人揃い踏みね、世の中暑い中」
「本当に世の中暑い、そんな中でエアコンが壊れて」
江理奈が叫ぶように清美に言った。
「江理奈、そんな所に突っ立ってると、電気屋さん入れないよ」
売り場の奥から麻井奈が江理奈に言った。
「こんりゃ失礼」
そう言って江理奈は出入り口を開ける。
「兎に角、飛河さん、境内にどうぞ」
由理香に案内され、清美は境内に招かれた。
「やれやれ、世の中暑い中神人さん元気ね」

「苦悪(くお)」
御神籤売り場から戻った天地人は清美が通された居間に来るなり、叫んだ。
「どうしたの?」
清美が三人に尋ねる。
「エアコンの型が古すぎて、部品が無いので買い換えないといけなくて」真っ先に口を開いたのは由理香だった。
「財布は真冬になるわね御愁傷様」
清美はそれ以外の台詞がなかった。
「それだけじゃなくて、取り付けは一週間後と」次に口を開いたのは麻井奈だった。
「ゑ、ということは」
清美の表情が変わった。「飛河さんが手伝ってくれる間は、世の中暑いままかと・・・・・」
最後に江理奈が口を開いた。
「苦悪!、何でこうなるの」
清美の叫ぶ声が神社の外にまで届いたという。

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