星の蒼さは 108
「なんか…耳が…?」
ほんの少し、唇が触れるか触れないかというところでハルは起きた。
慌てて顔を引っ込めた。
間に合ったらしい。
「!!アキ!目が覚めたのか!?」
アキと目が合ってすぐに大はしゃぎするハル。
この様子だと、本当に藍との会話は聞かれていないらしかった。
「うん。おはよ」
「水は!?飲む?大丈夫か?寝違えたり…」
「大丈夫だよォ」
「よかった!よかった!……もう一生起きないかと思った…」
急に深刻そうな顔でハルは続ける。
「アキ、ゴメンな。戦争なんかに巻き込んで…こんな…」
「だから、もう大丈夫。私は元々月の軍人だし、私が一緒に戦いたいって言ったのよ?迷惑かけてゴメンね」
「ああ」
照れ隠しで、いつも以上にアキは喋った。
「ハル、今、戦いはどうなってるの?」
「よくわからないけど、かなりヤバいみたいだ」
「……」
「…アキ。俺はもうアキを戦争に巻き込みたくない。だから逃げてくれ。アキは地球の軍人じゃないし……」
「嫌」
反射的に出てしまった。
え?とハルが聞き返す。
「そんなの嫌!」
つい大声が出てしまう。だが、譲れない。
「私は確かに月軍人だよ。今は違う。一緒に戦ったじゃない!?一緒に空翔んだでしょ?逃げて逃げて、全部なくしちゃうのはもう十分」
逃げて逃げて、自分は名前を奪われた。
逃げて逃げて、自分は友達を失った。
沢山だ。
今逃げたら今度は必ずハルをなくしてしまう。
「またいけるよ。二人でもう一回空を翔ぼう?」
アキはハルの手をとり、全て話し尽くした。
そして、これは自分への言葉。
「逃げないで」
ハルはアキを見つめ、しっかりと頷いた。
「出撃命令が出ました」
通信兵が悲痛な面持ちで滝川を見た。
「そう」
「勝算はありません。行くのですか?」
隣の荒木も状況を絶望視している。
戦力差歴然。くたびれた【零戦】二機でいったい何ができようか。
友軍はすでに中国軍のワシントン市内への侵攻を許している。
どうにもならない。
あの【天使】がもう一度戦場に舞い降りてきたら…そう思った。
だが、あの二人は…
滝川は最後になるかもしれない出撃命令を出した。
(艦長!俺達も出ます!)
彼女を驚かせたのはコクピットに座る、パイロットスーツに身を包んだアキとハルの姿だった。
ほんの少し、唇が触れるか触れないかというところでハルは起きた。
慌てて顔を引っ込めた。
間に合ったらしい。
「!!アキ!目が覚めたのか!?」
アキと目が合ってすぐに大はしゃぎするハル。
この様子だと、本当に藍との会話は聞かれていないらしかった。
「うん。おはよ」
「水は!?飲む?大丈夫か?寝違えたり…」
「大丈夫だよォ」
「よかった!よかった!……もう一生起きないかと思った…」
急に深刻そうな顔でハルは続ける。
「アキ、ゴメンな。戦争なんかに巻き込んで…こんな…」
「だから、もう大丈夫。私は元々月の軍人だし、私が一緒に戦いたいって言ったのよ?迷惑かけてゴメンね」
「ああ」
照れ隠しで、いつも以上にアキは喋った。
「ハル、今、戦いはどうなってるの?」
「よくわからないけど、かなりヤバいみたいだ」
「……」
「…アキ。俺はもうアキを戦争に巻き込みたくない。だから逃げてくれ。アキは地球の軍人じゃないし……」
「嫌」
反射的に出てしまった。
え?とハルが聞き返す。
「そんなの嫌!」
つい大声が出てしまう。だが、譲れない。
「私は確かに月軍人だよ。今は違う。一緒に戦ったじゃない!?一緒に空翔んだでしょ?逃げて逃げて、全部なくしちゃうのはもう十分」
逃げて逃げて、自分は名前を奪われた。
逃げて逃げて、自分は友達を失った。
沢山だ。
今逃げたら今度は必ずハルをなくしてしまう。
「またいけるよ。二人でもう一回空を翔ぼう?」
アキはハルの手をとり、全て話し尽くした。
そして、これは自分への言葉。
「逃げないで」
ハルはアキを見つめ、しっかりと頷いた。
「出撃命令が出ました」
通信兵が悲痛な面持ちで滝川を見た。
「そう」
「勝算はありません。行くのですか?」
隣の荒木も状況を絶望視している。
戦力差歴然。くたびれた【零戦】二機でいったい何ができようか。
友軍はすでに中国軍のワシントン市内への侵攻を許している。
どうにもならない。
あの【天使】がもう一度戦場に舞い降りてきたら…そう思った。
だが、あの二人は…
滝川は最後になるかもしれない出撃命令を出した。
(艦長!俺達も出ます!)
彼女を驚かせたのはコクピットに座る、パイロットスーツに身を包んだアキとハルの姿だった。
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