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エリザベスドール(22)

[591]  ぐうりんぼ  2008-08-14投稿
「…ディック・ブラウンと付き合ってるんじゃなかったの?」

ヘレンがこう言うと、フレデリカは口を開けた。

「付き合っているけど」

「なのにどうして、ルークと? まさか、浮気」

横から又、スージーが割り込む。

「ディックと別れたいんだよね?」

「ディックの事、嫌いなの?」

「あんなゴリラ男とはもう、うーんざり!」

益々、不機嫌な顔をするフレデリカ。

強欲で乱暴、いつも喧しく命令口調のディックはフレデリカにとっては、ハッキリ言って顔も見たくもない存在である。

「そんなに嫌いなんだ。
でもどうして、ルークなの? あの男でなきゃ、駄目?」

「何よ、イケナイって言うの?」

「別に構わないけど…、あんな臆病でひ弱な男よりも他にイイ男はイッパイいるじゃない?」

「私はルークがイイの」

「どうして?」

「あの男、正直者だし。
私の言う事、何でも聞いてくれそうだから」

「自分が男の上に立って優越感に浸りたいんだ?」

「まあね」

ルナが情報を話した。

「ルークをモノにするんだったら、今のうちよ」

「今のうち?」

「キャサリンが暫く、学校来ないみたいだし。
何だか知らないけど、ルークとキャサリンは別れたらしいって」

スージーが指をパチンと鳴らした。

「だったらフレデリカ、今がチャンスじゃない?
今度の12月17日はルークの誕生日だから…」

 ────────

そして、12月17日…、

口の達者なフレデリカは言葉巧みにルークを自宅に呼んだ。

ゲストルームにはX’マスツリーが飾られている。

ルークは、メイド嬢の案内で部屋に通された。

部屋ではフレデリカが1人、ピアノを弾きながらルークを待っていた。

フレデリカのもてなしに、ルークは戸惑いを隠せない。

しかも、男心をくすぐるような大人っぽいドレスで着飾っているから、尚もドキドキ。


2人のメイド嬢が食事の用意を始めた。

「フレデリカ、他の友人たちは…まだ誰も来ないね?」

「ああ、ごめんなさい。
実は、他のコたちは用事が出来て来れない…って言うの」

「え? 誰も?」

「みんな、ルークのバースデーを楽しみにしていたのに…、とても残念がってたわ」

「あ、あっそう!」

勿論、フレデリカが言った事は真っ赤なウソ。

ルークは何も知らず、ドキドキ気分に浸るだけである。


つづく

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