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不幸な復活2〜死人の帰還〜

[881]  hiro  2008-08-17投稿
家に帰る途中、トオルはぼんやり考えていた。
「そう言えば、何で俺は死んだんだっけ?」
その後、すぐに言い直した。
「何で俺は死んだと勘違いされたんだっけ?」
そこでまた、胸が弾んでくる。
「どーでもいっか。それより、あいつらの驚く顔が楽しみだ。」
口笛を吹きながら、軽快に家に向かう。

トオルは、四十歳で、無職だった。妻のアキコと子供二人の四人で暮らしていた。家族四人、いつも笑って過ごしていた。

トオルは、玄関の前に立った。窓のカーテンの隙間から、微かに灯りが漏れている。
こっそり中に入る。泥棒のような気持ちだ。リビングに向かう。薄暗い灯りがついている。
ひそひそと、話し声が聞こえる。トオルは耳を澄ませる。
「あいつ、最悪だったよな、働きもせず。」
おそらく、次男のタケシの声だ。
「そうよね、だらしない男だっだ。死んで当然だわ!」
妻の声だ。なんだか怒っているようだ。
「かわいそうだな、まあ、せいせいしたけど。」
今度は長男、タカシの声だ。誰のことを言ってるんだ?
「警察にはくれぐれも気を付けなさいよ。」
と、アキコ。
トオルは、さらに耳を傾ける。
「そうだよ。バレたら今までの苦労が水の泡だからな。あいつを殺したことも。」
聞き覚えのない声だ。トオルはいやな予感を感じた。そう言えば、靴も一足多かった気が…。
「分かってるよ、あいつの相続分も貰えるし。」
と、タケシ。
「あいつ、金なんて大して持ってなかったから、そんなに貰えないぜ。」
と、タカシ。
「でも、あの男が死んだってだけで十分よ、ね、あなた。」と、アキコ。
「そうだな、アキコ。」
と、知らない男の声。
まさか、こいつ、新しい夫か?
俺がいながら?
ー続くー

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