4の呼吸?−?
「しかし、暑いわね。どうして最近の夏はこんななのかしら。」
午前10時を少し過ぎた頃二人は校門の前に立っていた。
『市立戸塚小学校』と書いてある。
アナログな門には不釣り合いなインターホンが備えられてあり、それを押すとすぐ受話器を取る音の後に職員の声が聞こえた。男性の声だった。
「あっ、お待ちしていました。それでは、真っすぐ進んでいただいて校舎へお入り下さい。」
「はい、わかりました。」
と母が言うと、ガチャッという音がして門が勝手に開いた。楓は少し驚いたようだった。
「さあ、行くわよ。楓。」
母は暑さに加え、騒がしい蝉の鳴き声のせいでさらに苛立っていた。
「うん・・・。」
楓は校舎を見上げてみた。
すると、授業中のはずの教室の窓から三人の男の子が身を乗り出すようにしてこっちをじっと見ている。何かを言っているようだったが、気にしないことにした。
楓ははっとして辺りを見回すと、母は先に行っていた。
それを追って楓は足を急がせた。
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