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奈央と出会えたから。<199>

[588]  麻呂  2008-08-24投稿

お母さん。



あたしの心配ばかりして。



お母さんの方が何倍も忙しくて、大変な毎日を送っているのに。





『奈央。聖人君は、この事知ってるの?!』



『薬を飲んでる事?!ううん。聖人には言ってないよ。』



『どうして?!聖人君には話しておいた方がいいと思うわよ。

好きな人だからこそ、大事な事は話しておかないと。』



『うん。そうだね。今度話してみるね。』



“スキナヒトダカラコソ――”



そうかも知れない。


あたしも、聖人が生まれつきの心臓疾患と、喘息持ちだと言うのに、



あたしが心配すると、何時も半信半疑ではぐらかされてたコトに、



凄くたまらない気持ちになって――



凄く切ない気持ちになって――



その不満が募った感情を、



思いっきり聖人にぶつけたコトがあったんだ。





スキナヒトダカラコソ――\r



何でも話して欲しいんだって――



もっと自分の体を大切にして欲しいんだって――



その時、聖人にそう言った筈だった――




聖人のコトをもっと知りたいあたしだから――



あたしも――



聖人にあたしのコト、隠さず話さないといけないんだ――





ふと気が付けば――


さっきからフレンチトーストを持つ手が止まっていた。





『何考え込んでるの!!奈央は母さんの遺伝子受け継いでる筈だから大丈夫よ!!』



母があたしの顔をじっと見つめながら言った。

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