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奪い屋4〜チャンス到来〜

[656]  hiro  2008-08-29投稿
(プルルルル…)
人が落ち込んでいる時に、誰だ。
私はまだ、あの大失敗のおかげで、気が重たい。
私はいつもこうだな、と思いながら、しぶしぶ受話器を取った。
「もしもし、奪い屋だ。」
「あの、依頼なんですけど。」
どこか聞き覚えのある声だ。
「何を奪う?1週間後には、お前は私に殺される。それなりのモノがいいぞ?」
男は、私の言葉に怯んだようで、少し間を空けて言った。
「命です。神野 勇介という男の命です。」
私は嬉しくて声を上げそうになった。
命を奪うという依頼は大体断るが、今回は喜んで引き受けた。
いつも通り依頼者の名前と住所、標的の相手の名前と住所を訊いた。
「私の名前は神野 浩二で、相手の名前は、先程言った通り、神野 勇介。私の息子です。」
「息子を殺すのか?」
「はい。息子が家を出て行く時、いつか殺してやる、と言っていました。怖くなって引っ越したんですが、まだ怖くて。そこで、奪い屋と言うものを見つけて、それで息子が死ねば、と思いまして。」
「そうか、で、住所は?」
「私の住所は…。」
ここは、大事なところだ。私は間違いのないようメモをした。
「息子の住所は分からないんですけど、名前と年齢だけで住所が分かると聞いたので。」
「分かる。明日、神野勇介の死体を持って行く。後は自分で処理してくれ。」
と、嘘をついて受話器を下ろした。
名前と年齢だけで住所なんて分からない。それだけで住所が分かるという噂が流れているらしい。
だから、住所が分からないという依頼は断ってきたが、今回は違う。

これで私が奪い屋をやっている「真の目的」を果たすことができる。
明日で奪い屋をやめてもいいな、私はそう思った。
ー続くー

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