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奪い屋5〜真の目的〜

[673]  hiro  2008-08-31投稿
「勇介、なんでここに居るんだ?」
死んだはずの神野勇介が家に来たから、依頼者は不思議さと恐怖で驚いている。
私は笑いを堪えながらこう言った。
「間抜けだなあ、親父は。」
「どうなっているんだ?」
「俺は奪い屋だ。10年間、親父たちの電話を待っていた。」
そう、私は、両親の住所を知るために奪い屋をやってきた。
あの「いつか殺してやる!」という私の言葉に震えて、私を殺すよう依頼してくるのではないかと思っていたのだ。
1週間後に殺されると分かっていても、私を殺そうとしたようだ。部屋の隅に大きな旅行用鞄が2つ置いてある。
逃げる気満々だな、と私は思った。
ずるい奴は考えることが幼稚だな、予想通りだ。
「勇介、お前が奪い屋だったのか。」
「でも、奪い屋も今日で終わりだ。目的を果たせるからな。」
私の真の目的は、両親を殺すことだ。
育てるのが面倒だと言って、15歳の私を追い出した、憎き両親を!
「私を殺すのか?」
明らかに、顔が強張っている。
「あいつはどこだ。お前の妻だ。」
「京子なら、もうすぐ帰って来るはずだ。」
「じゃあ、お前が先だ。帰ってきたらあいつも殺す。」
「落ち着け!金なら出す、1千万出すから!」
「俺は金が嫌いだ。お前は、その次に嫌いだ。」
お前の次に嫌いなのは、こんなことをしている自分だ、と思いながら、私は父親をナイフで刺した。その後、驚く間も与えず、帰ってきた母親をナイフで刺した。
「これで終わりだ。」
私は最後にこう呟き、これからのことを考える。
警察官にでもなろうか。本気でそう思った。
警察官になれば、今までの罪を償うことができる気がした。
ー終わりー

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