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奈央と出会えたから。<206>

[606]  麻呂  2008-09-01投稿

ち、違う。



何言ってるのよ、タツヤは!!



バ、バカ。



やめてよっっ!!



やめてっっ!!



や‥‥やだ‥‥‥。


恥ずかしさと悔しさで、あたしは顔が徐々に赤くなっていくのが分かった。



聖人の手には、拳がギュッと握られていた――



その手が小さく小刻みに震えている――


聖人は今にも爆発しそうな怒りを抑えるかの様に、大きく息を吐いた。



そして――



『何が言いたいのよ?!タツヤ?!』



斜めに傾けた顔。



聖人の少し長めの前髪から覗く、キレ長の奥二重の目は、



見る見るうちに、鋭さを増していった。


すると――



タツヤは何を思ったか、



今度は、あたしに向かってこう言ったんだ。



『なぁ木下。キモチイイからってナマでやるなよ?!

またまた赤ちゃん出来ちゃう〜〜っっ!!

ひゃっはっはっはっっ!!』



カアァァァ―ー‐



は、恥ずかしさと悔しさで――



か‥顔が上げらんないよ――



『‥タツヤ‥‥てめぇっっ―ー‐』



ガンッ―――\r



聖人はタツヤに向かって椅子を蹴り上げた。



ガラガラガッシャ―ー‐



『怒れ、怒れ!!

俺は、てめぇが入学したトキから気にいらねぇんだよ!!

女みてぇなツラしやがって、スカしてんじゃねぇぞコラッッ。』



ドスッ―ー‐



先に手を出したのは、タツヤだった。



タツヤの拳は、聖人の左頬にヒットした。



『別に、てめぇに気に入られようとは思っちゃいねぇよ!!』



ドカッッ―ー‐



聖人もタツヤに一発返した。



聖人の拳は、タツヤの顔面を捉えた。



そのパンチ力は勿論の事――



パンチの速さに――



あたしは思わず息を呑んだ――

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