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星の蒼さは 116

[488]  金太郎  2008-09-07投稿
ホワイトハウス前、米軍旗艦グレイプニルに続々と米軍部隊が凱旋してきた。

米国大統領ハワードも出迎え、彼らを讃えた。




「ハル!!アキちゃん!やったな!凄ェーぞ!」

【ミカエル】から降りたハルとアキに真っ先に駆け寄ったのは野口だった。

「ピカッてなってよ!それでドカン!ってよ!」

ミカエルの【プロミネンスシステム】が余程衝撃的だったらしく、まさに興奮さめやらぬと言ったところか。

「お疲れ様、卯月上等兵。それとアキ」

滝川艦長も笑顔を見せ、松葉杖をついた狩野も勝利を噛み締めているようだった。

「いやいや、そんな事……ロシア帝国軍が来なかったらどうなってたか…」

ロシア帝国軍の軍事介入が無ければ間違いなくワシントンは陥落していただろう。
この勝利の立役者は神聖ロシア帝国である。

「噂をすればなんとやら……」

狩野が言い終わる前に、あおかぜ一行の前に白い軍服を着た一団が現れた。

「帝国近衛騎士団ね」

滝川が先んじて牽制する。

「さすがですね。アドミラル(提督)と謳われたコータロー・ツチダ中将の懐刀、滝川恵美少佐。我が誇り高き近衛騎士団の制服をご存知でしたか」

一団の中から女の声が響く。
ハルとアキはこの声を知っていた。

「“白の幽霊団(ホワイトゴースト)”を知らない軍人はいないわ」

「恐れ入ります」

そう言うと、白の人垣が左右に分かれ、その中心からフードを被った一回り小柄な人影が現れた。

「あなたを知らない軍人もいないかしら」

滝川の言葉を合図にしたように白いマントの中から出た。
そして、それよりも白く透き通った手がフードに手をかけ、ゆっくりと下ろした。

「“串刺しエカチェリナ”」

その顔を見、ハルとアキは「あっ」と、揃って声をあげた。

イメージしていたような“オトナ”漂う姿とは違い、どちらかというと少女という表現が合う。

体格はアキと大差ない。

年齢も恐らくハルと同い年か、それ以下。

だが、同じような体型のアキと違い、育ちの良い胸が女の魅力を引き立てていた。

隣で野口がごくんと生唾を飲み込んだ気配がする。

「“串刺し”とは心外。槍を好んで使うだけなのに」

やれやれと首をふる彼女だが、その名を嫌っている訳では無さそうだった。

「東欧戦線…北極戦役…。少々趣味の悪い戦いぶりは世界に轟いているわ」

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