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ロストクロニクル序章―3

[662]  五十嵐時  2008-09-08投稿
タクトはその豪華過ぎるほどの城に目を奪われながらも馬車から降りた。降りる時に少しつまづいてしまった。
「お兄ちゃん、剣を忘れちゃダメだよ」
「そうだった。忘れてた。ありがとう」
剣を受け取り、鞘に収めると、また、城に見とれる。
「あれ、おばあちゃんはどこ?」
その疑問には馬車の兵士が答えてくれた。
「君たちのおばあちゃんなら先に行ったよ」
タクトはそんな会話も聞かずにただただ城に見とれていた。
そんな時に城の中からから一人の少年が出てきた。
「遅かったじゃないか、タクト」
その少年は少しほっとしたような笑みを浮かべた。
「ウェイトじゃないか!本当にここにいたのか」
兵士が「だからここにいると言ったじゃないか」と言うよりも先にタクトはウェイトの方へ駆け出していた。 あっという間にウェイトのところへ来た。
「相変わらず足速いなー
タクト」
「でも、それ以外は負けるよ」
二人はとても嬉しそうに再会を喜んでいる。
タクトは暫し再会を喜ぶと真顔になった。
「そういえば、お前の父さんはムシの討伐隊だったろう?」
ウェイトは話の腰を折って
「そういえば、お前の父さんは立派な剣士さんだったなー」
「おいっ、話を聞けって!」
「わかった、わかった、聞くって、聞くって」
「ムシがオーケスに入って来たんだ。なんか知らない?」
「それは城の中に入ってからだ。国王の話がある」

数分後タクトとウェイトは玉座の間でパラス城の主であり、一国の主である人間を待っていた。
「おいっ、タクトさっきからうるさいぞ!」
ウェイトが小声で注意する。 「だってさ、今ぼくたちはあのパラス城の中にいるんだぞ」
「さっきから何回言って・・・」
ふいに後ろの大きな扉から何十人もの兵士を連れた、いかにも国王というような真っ赤なマントと白い大きな髭が似合う人物が来た。その人物は急ぎ足で玉座に座った。
「まずは自己紹介を国王のマーシュと申す」
「俺がウェイトでこっちがタクトです」
「早速だが本題に行く」
口調も急ぎ足だ。
「ルパスが攻めてくるのじゃ」
「どういうことですか」
「そうじゃったな。ウェイト君には少し話したんじゃが、タクト君はまだじゃったな。よい、それでは、大まかな説明だけするぞ。細かいことは後でウェイト君に聞くのじゃぞ」
そして、国王は語り始めた。

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