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奈央と出会えたから。<220>

[556]  麻呂  2008-09-13投稿

『篠原先生、ありがとうございました。ユカをお願いします。』



『はい。分かったわよ。』



そして――



あたし達は、保健室を後にした――



* * * * * *

その日の帰り道は――



2人にとって――



また何時もの帰り道――



『聖人。』



『ん?!』



『あたし‥‥聖人に言いたいコトがあるの。』



『うん。』



あっさり素直に返事をされると――



なんだか調子が狂っちゃう――



『あの‥‥。そ‥の‥‥。』



『何だよ?!言えよ!!』



『だから‥‥。あ、あたし以外の女の子のコトを‥‥あんな風に言われるのが、嫌‥‥だ。

さっき、ユカをおぶってたトキのコト‥‥。』



ハッキリ言い過ぎたかなって思ったから――



言うつもりでいた言葉を躊躇した――



『俺、なんか変なコト言った?!』



でも――



聖人の、その一言で――



前言撤回っっ!!



『言ったもん。“背中の感触”がどうとか‥‥。』



思い出したのか、



聖人は、少しの間を置いてから口を開いた。



『‥‥ただの冗談だろ。それ位のコトで怒るなよ。』



『それでも‥‥嫌だもん‥‥。』



自分が、こんなにもヤキモチ焼きだなんて思わなかった――


『ごめん‥俺、奈央を傷つけた?!』



そして――



聖人が、こんなにも素直だなんて思わなかった――



『ううん。あたしも聖人のコト‥‥“何考えてるのか分からない。”とか、結構酷いコト言ってるし。』



2人で歩く雪道が――



今日は少しザクザク音をたてていた――


『奈央――』



不意に呼ばれて、



大好きなヒトの顔を見上げた――



そして――



優しくキスをされた――



『俺が好きなのは、奈央だけ。

ずっと、ずっと、これからも――』



『うん。』



“ずっと、ずっと、これからも――”



嬉しくて――



また胸が苦しくなった――



『めっちゃ好きだからっっ。』





聖人はそう言って、


少し早歩きに、前を歩き出したんだ――


『待ってよぉ。』



あたしも、めっちゃ好きだよ――



ずっと、ずっと、これからもっっ!!

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