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航宙機動部隊前史後編・17

[554]  まっかつ  2008-09-16投稿
だが、一つだけ明白な事実がある。
本国に直撃を喰らったギャームリーグの敗戦だ。
彼等はそれこそ、坂道を転がり落ちる岩の様に、急速に瓦解して行った。
それまでの強盛が嘘の様であった。

宙理的には、ガニバサが後背に出現した段階で、三方から挟み撃ちされる運命となったギャームリーグに、勝ち目は無かったのも確かだ。
だが、その凋落振りの激しさは、正に劇的だったのだ。

彼等の継戦能力は、もう限界に達していた。
そこへ、ネオフリートの襲撃によって、三宙邦が安全宙域ゆえに集中させていた重要設備や拠点が粗方奪われ、これに、呼応した中央域方面からの大攻勢《モーセの渡海作戦》が追い討ちを加えた。
最後は、それまで監視と統制の下、戦争の負担と重圧に耐え続けて来た主要有人星系の離反・サボタージュが相継いだ。
皮肉な事に、その尖兵となったのが、中央域から徴募して来た五0億を数える外国兵・労働者達であった。

ギャームリーグは僅か一年で足元から崩れ落ち、銀河元号一五四五年第三期一日(修正太陽暦七月一日)に大司令部が降伏した時には、有人星系四・人工植民体七三・総人口一四億九000万人・保有艦船二六五00隻(うち純戦闘艦艇六000)・要塞その他主要拠点三八を有するのみとなってしまっていた。

その後、抵抗を続けていたアイアン=トライアングル要塞群も、同年第四期三0日(修正太陽暦一0月三0日)、大司令部からの停戦命令に従い、ガニバサの進駐を受け入れた。
こうして、第一次恒星間大戦は終りを告げた。

それは、征夷王道化戦争以来始めての、そして最大の総力戦であり、俗に《勝者なき戦い》と称される様に、参加したどの勢力にも甚大な被害と消耗を強いた。
疲れ果てた人々は、当然二度と戦争が起きない様、切に望み、指導者層も全く同じ気持ちであった。

銀河元号一五四六年になると、特にフリースユニオン側で軍備放棄の議題が盛んになった。
全ての星民が十年越の大戦によって疲弊し荒廃し、家族や故郷を失い、今だ心身の後遺症に苦しんでいる。
戦争廃絶の思想に間違いは無かったが、一種の反動でその施策や実践が性急に過ぎた。
向けるべきあても無き憎しみや恨みは、全て時の軍隊や兵士に向けられ始めた。
それからの一年で、かつての英雄達は銀河の厄介者として排除される様になったのだ。

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