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奈央と出会えたから。<226>

[564]  麻呂  2008-09-19投稿

『奈央ちゃん、これ口元に当てて!!』


ミズホさんは、とっさにチョコの入っていたビニール袋を、あたしの口元に当てた。



『はぁ―‥はぁ―‥はぁ―ー‐‥‥。』


数分間、そのビニール袋の中の空気を吸っていたあたしは、


徐々に、呼吸が楽になって来るのが分かった。



『奈央ちゃん。大丈夫だからね。直ぐに呼吸が楽になるから安心して。』



ビニール袋を口元に当てたあたしは呼吸が落ち着くと、



側で心配そうな顔で見つめるミズホさんの顔を見た瞬間――


思わず涙ぐんでしまった。





『奈央ちゃん‥‥。』



ミズホさんが、あたしの頭を優しく撫でてくれた――



聖人が何時も撫でてくれるみたいに――


『よしよし‥‥。落ち着いた?!』



あたしは、たった今自分に起こった体の異変から、



やっと落ち着きを取り戻し、



少しの間、何も考えられずにボーっとしていた。



そして――



『ミズホさん‥‥。ありがとうございます。あ‥あたし‥‥。』



あたし、やっぱり過呼吸ですか?!――


そう言葉が出て来る前に



ミズホさんが先に口を開いた――



『奈央ちゃん、大丈夫だよ。心配しなくていいんだよ。

きっと、色んなコト考え過ぎて頭の中がパニックになっちゃったんだね。

大丈夫。奈央ちゃんには、ちゃんと守ってくれるヒトがいるって信じてね。』



『ミズホさん。どうして、発作を起こしたトキの対処の仕方‥‥知っていたんですか?!』



『あはは。あのね、あたしも昔、過呼吸の発作をよく起こしていたから。』



そう言って、明るく笑って答えてくれたミズホさん――



そうだったんだ――


ミズホさんも、過呼吸の発作を起こしたコトが、あったんだ――

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