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ロストクロニクル2―3

[485]  五十嵐時  2008-09-20投稿
「この村に住んでいる奴等はみんな、家の下に地下への隠し通路があるんだ」
荒れ果てた村を歩きながら、相変わらずの迫力のある声でウェドが説明する。やはり、これが普通の声らしい。
「そうか、それでみんな一斉に居なくなってしまったんじゃなー」
「この村に住んでるんじゃないんですか?」
「ああ、そうなんじゃよ。いきなり襲ってきて、びっくりしたぞ」
「ウェド、今は何処に向かってるんだ?」
「俺の家だ」
「何で他の家の隠し通路を使わないんだ?」
ウェドは一瞬躊躇ったが教えてくれた。
「隠し通路にはそれぞれの暗号があるからだ」
それからは四人は無言でウェドの家を目指した。
ウェドの家は他の家と同じように完全に倒壊していた。 「ここだ。うわ〜、やっぱりやられてたか」
ウェドは本当に悲しそうに肩を下ろした。
「で、隠し通路は何処じゃ」
老人はなぜか急かしている。
「急かすなよ。今開けるから」
「静かに!」
「どうしたの。タクト」
「足音、それもかなり沢山の」
タクトは既に剣を出していた。
「ああ、聞こえる。ムシだ」
ウェドも背中の大きな剣を構えた。
「いた!あそこよ」
パールはすぐに弓を構えると、その遠くのムシを射抜いた。
「あんなに遠くの敵を射たのか」
ウェドの驚いた声にパールは「話し掛けないで!」と静かに厳しく言うと、次々と遠くのムシを射ていった。
「凄いなー」
ウェドは小さく呟いた。
「そろそろ限界よ。数が多過ぎるわ。逃げた方がいいかも」
「わかった。俺が通路を開けてくる」 ウェドは急いで通路を開けに行った。 「お嬢さん、後ろじゃ」
ムシが今にもパールに飛び掛かろうとしている。
「大丈夫か。後ろは任せて」
タクトが素早く対処した。
「ありがとう」
「おいっ、早く開けんか」
「ちょっと待てよ」
「何しとるんじゃ!」
「いや〜こういうのってさーなんていうか。長く使わないものって・・・」
老人はしびれを切らしたようだ。
「なんじゃ、はっきり言わんか!」
「早く開けてよ!」
「早く開けてくれ!」
「ああー、わかったわかった。はっきり言うぞ」
ウェドは観念したように言った。
「忘れちまった」

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