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奈央と出会えたから。<229>

[568]  麻呂  2008-09-23投稿

* * * * * *

チョコのラッピングをし終えた――



さっき過呼吸の発作を起こしたあたしのコトを、



ミズホさんは、ずっと気にしてくれていた。



『奈央ちゃん。今迄に発作を起こしたコトは何回もあるの?!』



『大晦日の日に‥‥1度だけ‥‥息苦しくなったコトはありますけど、そのトキは直ぐに治まったんです。』



『そっか‥‥。』



ミズホさんは少しの間、何か考え込んでいる風な表情をしてたかと思うと、



突然、何か閃いたかの様に、



あたしにこう言ったんだ。



『奈央ちゃん。今此処に、聖人を呼んでいいかな?!』



えぇっっ?!



そ‥そんな急過ぎだよ!!



『あの‥‥。聖人には、まだ言わないで欲しいんです。

いきなり言ったら、びっくりすると思うし。

あたし‥‥実は、ずっと前から精神安定剤と睡眠薬を飲んでいて、

心療内科に通ってるんです。

このコトは、まだ聖人に言っていなくて‥‥。

何時か言わなきゃと思っているんですケド、

なかなか言い出せなくて‥‥。』



そう言えば、母にも言われていたんだ。


薬を飲んでいるコトを、



聖人には、ちゃんと話しておいた方がいいって。



でも、それは先にミズホさんに知られるコトになっちゃた。




『奈央ちゃん。好きなヒトには、もっと心を開いていいと思うな。

なんか、奈央ちゃんを見ていると、

何時も言いたいコトも言えないで、

殻の中に閉じこもっている様な気がする。』



ミズホさんに、そう言われてハッとした――



そして思った。



“もっと心を開いていいと思うな――”


この不安なキモチは、



ソレが出来ないからこそ起こるんだって――



自分のキモチに素直になれたら、



どんなに楽だろうって思う。



大好きなヒトの側にいるコトで、



安心出来る筈なのに――



不安なキモチになるなんて、



そんなのオカシイって――



あたしも思っていたケド――



聖人のコト好き過ぎて――



大好き過ぎて――

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