星の蒼さは 121
「アイはどこに?」
「今はロシアだ。帝国の対中国参戦を促したのはどうやらあの尼だな」
「アキ・シラユキと接触したのでは?」
どう考えても時間が合わない。だが、それは常人において、だ。【神出鬼没】。もはや人ではない。
「奴は世界のトップに顔が利く。早めに処理しねーと厄介な事になるぜ」
これに加えてEU諸国にまで共闘を呼び掛けられては確かに面倒な事になる。
だが、レイチュルはどうしても彼女には冷酷になれなかった。
「考えておくわ。この件は保留にしておいて」
「……わかった」
ニノミヤはまだ何か言いたそうだったが、深くは追及しなかった。
無言のまま、部屋を出ていこうとする。
「そうだ」
「?」
「どうしてこんな【計画】を?聞いてなかったな、まだ」
三年越しの陰謀。策謀。その集大成はすぐそこまで来ている。
「…」
振り向かず彼は聞いている。
「これは提案なのよ」
ニノミヤは「ほう」と、振り向いた。
「一度この世を去った私が改めて見た、この世界への私からの提案。
撃ち殺された自分はこの世を去り、そして帰ってきた。
何もかもを客観的に見る事ができた。
毎日というものは、変化なく過ぎ去り繰り返す、ゼンマイ仕掛けのブリキ人形のようなものである事。
戦争というものは、互いに食う訳でもなければ滅ぼす訳でもなく殺しあうが、実は本当に動物らしい本能的な欲求とエゴの上に成り立つ、愛しむべき行為である事。
その本能の具現化、戦争にすら疲れ果てた人類は真の【救世】を望んでいるという事。
それができるのは、そう。自分だけ。
一度は死にながらも、自分は神から使命を帯びて再びこの世に遣わされたのだ。
救世しなければならない。
エドワーズへの性愛を力に変えて。
生きとし生けるもの全てへの慈愛を剣に変えて。
私は神よ」
自然とこの言葉が出てくるようになったのはいつからだっただろう。
「マジでイッてるぜ。あんたは死んだ方がマシなエゴイストだ」
ニノミヤは顔が変形する程笑っていた。
罵詈雑言とは裏腹に、その世界に何かしらの興味を抱いているようだった。
「今はその玉座で我慢してろ。“神・様”に相応しい立派な玉座を用意してやるからな」
ニノミヤは手をヒラヒラさせて部屋を出た。
相も変わらず、窓の外に広がる地球は赤かった。
「今はロシアだ。帝国の対中国参戦を促したのはどうやらあの尼だな」
「アキ・シラユキと接触したのでは?」
どう考えても時間が合わない。だが、それは常人において、だ。【神出鬼没】。もはや人ではない。
「奴は世界のトップに顔が利く。早めに処理しねーと厄介な事になるぜ」
これに加えてEU諸国にまで共闘を呼び掛けられては確かに面倒な事になる。
だが、レイチュルはどうしても彼女には冷酷になれなかった。
「考えておくわ。この件は保留にしておいて」
「……わかった」
ニノミヤはまだ何か言いたそうだったが、深くは追及しなかった。
無言のまま、部屋を出ていこうとする。
「そうだ」
「?」
「どうしてこんな【計画】を?聞いてなかったな、まだ」
三年越しの陰謀。策謀。その集大成はすぐそこまで来ている。
「…」
振り向かず彼は聞いている。
「これは提案なのよ」
ニノミヤは「ほう」と、振り向いた。
「一度この世を去った私が改めて見た、この世界への私からの提案。
撃ち殺された自分はこの世を去り、そして帰ってきた。
何もかもを客観的に見る事ができた。
毎日というものは、変化なく過ぎ去り繰り返す、ゼンマイ仕掛けのブリキ人形のようなものである事。
戦争というものは、互いに食う訳でもなければ滅ぼす訳でもなく殺しあうが、実は本当に動物らしい本能的な欲求とエゴの上に成り立つ、愛しむべき行為である事。
その本能の具現化、戦争にすら疲れ果てた人類は真の【救世】を望んでいるという事。
それができるのは、そう。自分だけ。
一度は死にながらも、自分は神から使命を帯びて再びこの世に遣わされたのだ。
救世しなければならない。
エドワーズへの性愛を力に変えて。
生きとし生けるもの全てへの慈愛を剣に変えて。
私は神よ」
自然とこの言葉が出てくるようになったのはいつからだっただろう。
「マジでイッてるぜ。あんたは死んだ方がマシなエゴイストだ」
ニノミヤは顔が変形する程笑っていた。
罵詈雑言とは裏腹に、その世界に何かしらの興味を抱いているようだった。
「今はその玉座で我慢してろ。“神・様”に相応しい立派な玉座を用意してやるからな」
ニノミヤは手をヒラヒラさせて部屋を出た。
相も変わらず、窓の外に広がる地球は赤かった。
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