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ロストクロニクル2―5

[486]  五十嵐時  2008-09-23投稿
この暗い通路を進んでどれくらい経っただろう。
いくら進んでも街らしいものは見えて来ない。
「まだなの?」
パールが疲れ切った声で聞いた。
「もうすぐだ。頑張れ」
「しまった。わしの大切な手紙が、落として来てしまったか、どうしたものかー」
老人が自分の服のあちこちを探っている。
「でも、今から戻るったって大変だぞ」
「わしの孫から貰った大切な手紙なんじゃ。なかなか会えんくてのー。仕方ない、わし一人で取りに戻るから、ゆっくり歩きながら進んどいてくれんか?」
タクトが「それは危険です」と注意をする間もなく、老人は慌てて戻って行ってしまった。
「仕方ねぇな。ゆっくり歩きながら行くか」

「まだ、着かないのか」
とても長い時間が過ぎていた。老人もついさっき追いついてきたところだった。
「もう少しの辛抱だ。頑張れ」
その時入り口の方から大きな音が聞こえてきた。「ドーン!ドーン!」
「何の音?」
「ドーン!ドーン!」
音は更に大きくなっていく。
「扉が壊されているんだ!」
「どういうことじゃ?」
「つまり、外のムシが扉を壊そうとしてるんだろ」
「そう。まるで誰かに統率されているかの様に」
「何よ、それ、どういう意味?」 「ドーーン!」
扉の方からとてつもない大きな音が聞こえてきた。
「ありゃ、壊されたな」
「そんな呑気なことが言っとれるか。走るんじゃ!」
四人は走り出した。老人も意外と速く走る。
「街はまだなの?」
「もう少しだ!」
やがて、通路の後ろの暗闇から多くの足音が聞こえてきた。
「来たぞ!」
後ろの足音はどんどん大きくなっていく。逃げ道も無い、ただ、真っ直ぐに続く暗闇の通路だ。
「光が見えるわ!」
その光は近づけば近づく程、大きくなっていく。
「よしっ、もう少しだ。頑張れ!」
パールが居ない!
だが、ウェドと老人は既に街に飛び込んでいた。
タクトの一歩先にも街がある。
「タクト速く来い!」
「パールが居ないんだ」
パールは後ろで座り込んでいた。
「パール、速くこっちに!」
「足が動かないの!」
パールの後ろには無数のムシがいた。
タクトは急いでパールの方へ向かった。パールを担ぐと光の方へと走り出した。
「大丈夫だ!絶対間に合う!」

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