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奈央と出会えたから。<232>

[576]  麻呂  2008-09-25投稿

だから、あたしはそのまま話し続けた。


『そ、それで‥‥最近になって1度、息苦しくなったコトがあって、そのトキは、それで治まったんだケド‥‥。

さっき、ミズホさんと一緒にチョコを作ってたトキ‥‥。

また、息苦しくなって‥‥。

それが、段々酷くなってきて‥‥。

あたし、もしかしたら死ぬんじゃないかって思う位の息苦しさで‥‥。

ミズホさんが、ビニール袋をあたしの口元に当ててくれて‥‥‥そ、それで‥‥何とか呼吸は落ち着いたんだケド‥‥‥。』





あたしが、とても回りくどい説明を始めたせいか、



側で聞いていたミズホさんが、



その後、聖人に分かり易く説明してくれたんだ。



『聖人。奈央ちゃんね、心の中にいっぱいいっぱいキズがあるの。

ずっと1人でそのキズを治そうと頑張っているの。

そのキズを治すには、病院の薬だけじゃダメなのっっ!!

だからあたし、聖人を呼んだのよ!!』


聖人にそう言ってくれたミズホさんは、


ちらりとあたしの方を見て、優しく微笑んだ。





次の瞬間――



目の前の聖人が、



無言であたしを抱き締めた――



背の高い聖人に抱き締められたチビのあたしは、



視界が聖人の胸の辺りで遮られている。


ギュッ――



抱き締められている間、



聖人は、ずっとずっと無言だった。



そして――



『俺‥‥早くお前を守ってやれる様になりてぇ‥‥‥。

汚ねぇオトナになるのは嫌だけどよ‥‥‥。』



そう言って、更に強く抱き締められた――



気のせいか――



聖人の手が――



微かに震えていた――

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