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奈央と出会えたから。<235>

[573]  麻呂  2008-09-28投稿

『そっ‥‥そっかぁ。』



思わず引きつり笑い。



あたしってばバカじゃない?!



何聞いてんのよ。



聞かなきゃよかった。



甘い物が苦手だって聞いちゃったら、



もう渡せないじゃんっっ。



どうしよ。



はぁ〜〜‥‥。



『何でンなコト聞くの?!ん?!今何か隠しただろ?!』



『か‥‥隠してないよっっ。』



やーん。



やっぱ聖人ってば鋭いし。



さすがは視力2.0。



『いや。ぜってー隠した。何ソレ?!』


聖人は、あたしが必死に隠そうとしていた、可愛くラッピングされたチョコに気付いた。



『だ、だめ‥‥。』


そんなあたしの声も聞かず、



聖人は、ソレを手に取った。



『何コレ?!奈央?!』



『‥‥チョコ。バレンタインの‥‥。』


あたしがそう言うと、



聖人は、少しの間、何か考えていたかと思うと、



『これ‥‥俺の?!』



―なんて、少し照れた様な顔で、



あたしの顔を見た。


ドキッ――



『うん‥‥。手作り‥‥だよ。』



ドキドキドキドキ――



チ‥チョコなんて――



大好きなヒトにあげるのも生まれて初めてで、



手作りしたのも、



生まれて初めてだった。



『んじゃあ‥‥食っちゃお〜〜っと。』


聖人は、一言そう言った後、



突然、チョコのラッピングをほどいて、


中の小箱のふたを開け、



チョコをパクパク食べ始めたんだ。



『甘い物、嫌いなら無理しないでね。』


あたしの声が聞こえてませんと言った調子で、



聖人は何も言わずに、10粒のトリュフを全て食べてしまった。



『あ―美味かった。奈央、サンキュ!!』



あはっっ。



その満足そうな顔が、



なんか可愛かった。


『聖人、一気に食べて、お腹大丈夫?!』



『おぅ。全然大丈夫。食おうと思えば、もっと食えるぜ。』


えぇ〜〜〜っっ?!


『聖人、本当に甘い物苦手なの?!』



だって、あんな一気に食べるんだもん。


『甘い物は苦手だけど、チョコ系は大好き。ヘンかな?!』

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