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ロストクロニクル2―7

[455]  五十嵐時  2008-09-28投稿
村長が奥の部屋に乗り込んでから数分、パールは三つ目のケーキを食べている。
「はっはっはっ」
二人は笑いながら帰ってきた。ウェドの背中には大きなハンマーがあった。
「悪かったな。待たせちまって」
「気になったことがあるんですけど、地上の村を襲ったのはどんな人でしたか?」

「ローブを着ていて良く分からなかった。だが、大きな鎌を持っていた」 タクトたちは今、ウェドの道案内で地上への道に向かっていた。 「良かったな。ハンマー見つかって」
「ああ、これは俺の武器なんだ」
「どうして剣士の街なのにハンマーなの?」
「俺が何使おうが勝手だろ。あっ、ほら、あの階段が地上への道だ」
ずっと向こうの方に大きくて長い階段が見える。地上から光が差して、まるで天国への階段の様に見える。
「あそこを上れば地上だな」
「ちょっとその前にこのクォールマークの大広間に行ってみねぇか?」
「何処にあるの?」
「あの階段の右隣にあるあの扉だ」
そこには巨大な両開きの扉があった。
「あそこはこの街の住人の全員が入れるようになってんだ」
「凄いわね」
「なっ、行ってみたくねぇか?」
「良いよ。行ってみよう」
パールはタクトならもちろん断るだろうと思っていた。
「行って良いの?お友達はもういいの?」
「そんな訳無いだろう。でも、何だか行かなくちゃいけないような気がするんだ」
「よし、それじゃ行くぞ」

タクトたちはあの巨大な両開きの扉の前に立っていた。左隣には地上へと続く階段がある。
「この扉どうやってあけりの?」
ウェドは突然大きな声で笑いだした。
「なによ!なんで笑うのよ!」
「ごめんごめん、やっぱりなと思って」
ウェドはまだ少し笑っている。
「やっぱりってなによ」
「実はな。この扉な。こうなってるんだ」
ウェドは巨大な扉に着いてあった普通の大きさの扉を開けた。
「なるほど、凄いのは見た目だけなのか」
「くだらない」
「まぁ、こんなことはどうだって良いんだ。凄いのは中身さ」
大広間の中は柱が何本も並んでいて、壁には絵が幾つも掛かっていた。天井も高く、まるで城の一室にいる様だ。
「綺麗ね」
「誰か居る」
奥のいちばん大きな絵の前にあの老人がうずくまっていた。

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