お前がいたから?ー?
ベタすぎてあり得ないと言われればそこまでだが、その日は実際にそうであったのだから仕方ないとしか言いようがないだろう。
前日に夜遅くまで起きていたつけが回って来てしまった俺は、遅刻するということもあって、朝食のトーストを一枚口にくわえたまま家を飛び出していた。
新学期が始まって1ヶ月しか経ってないこの時期に遅刻することが非常にはばかられた俺は、自分の格好の特異性に気付くこともなく、ただひたすら足を進めることに専念していた。
何度思い返してみても、その時の格好が恥ずかしすぎて、未だに一人で枕を叩いているぐらいだ。まったく、パンを口にくわえながら走って登校なんて、一体どこの恋愛ドラマだよ。
今時ローカル局の深夜番組でもそんな構成しないって。
まま、そんな感じでひたすら走っていたんだが、春に入ってすぐだというのに、なにぶん日差しが強い。
一歩一歩足を進めるだけで額から汗がどんどん流れてくる。
体力もだんだん限界に近づいてきたが、もう少しで校舎が見えてくるはずだ。
正面に見える角を曲がれば、校門も視認できる。
息も絶え絶えに俺は腕時計を見た。
よし、まだ8分ある。
このまま下足で教室に駆け込めばギリギリ間に合うはずだ。
妙な興奮からか心が躍る。
気づいたら、口にくわえていたトーストは半分以上咀嚼されていた。
安心感と若干の時間的余裕からか、どこか心にも余裕ができていた俺は、緊張の糸が緩んでいたせいでどうも油断していたらしい。
正面に見えているT字路を右側に曲がるとき、俺は左側から来た人に気づくことが出来なかった。
「う、うわ!」
案の定、俺はその人と衝突して無駄に盛大に尻餅をついた。
痛む尻をさすりながら、
「いててて…すいません、大丈夫ですか?」
俺はぶつかった相手に一言謝ってから、視線をその人に移した。
腕をさするその人はどうやら学生のようだった。
しかも、どうも見覚えのある服を着ているなと思えば、どうやら同じ学校の生徒らしい。
けど……と俺は思う。
俺はこんな生徒を今まで校内で見たことがない。
なぜそんなことが言えるかって?
男の俺が言うのもなんだが、こんな美少年が記憶に残らないわけがないと言えばわかってもらえると思う。
整った目鼻立ちに清潔感のある白い肌とスリムな体つき。
えらい美少年がそこにいた。
前日に夜遅くまで起きていたつけが回って来てしまった俺は、遅刻するということもあって、朝食のトーストを一枚口にくわえたまま家を飛び出していた。
新学期が始まって1ヶ月しか経ってないこの時期に遅刻することが非常にはばかられた俺は、自分の格好の特異性に気付くこともなく、ただひたすら足を進めることに専念していた。
何度思い返してみても、その時の格好が恥ずかしすぎて、未だに一人で枕を叩いているぐらいだ。まったく、パンを口にくわえながら走って登校なんて、一体どこの恋愛ドラマだよ。
今時ローカル局の深夜番組でもそんな構成しないって。
まま、そんな感じでひたすら走っていたんだが、春に入ってすぐだというのに、なにぶん日差しが強い。
一歩一歩足を進めるだけで額から汗がどんどん流れてくる。
体力もだんだん限界に近づいてきたが、もう少しで校舎が見えてくるはずだ。
正面に見える角を曲がれば、校門も視認できる。
息も絶え絶えに俺は腕時計を見た。
よし、まだ8分ある。
このまま下足で教室に駆け込めばギリギリ間に合うはずだ。
妙な興奮からか心が躍る。
気づいたら、口にくわえていたトーストは半分以上咀嚼されていた。
安心感と若干の時間的余裕からか、どこか心にも余裕ができていた俺は、緊張の糸が緩んでいたせいでどうも油断していたらしい。
正面に見えているT字路を右側に曲がるとき、俺は左側から来た人に気づくことが出来なかった。
「う、うわ!」
案の定、俺はその人と衝突して無駄に盛大に尻餅をついた。
痛む尻をさすりながら、
「いててて…すいません、大丈夫ですか?」
俺はぶつかった相手に一言謝ってから、視線をその人に移した。
腕をさするその人はどうやら学生のようだった。
しかも、どうも見覚えのある服を着ているなと思えば、どうやら同じ学校の生徒らしい。
けど……と俺は思う。
俺はこんな生徒を今まで校内で見たことがない。
なぜそんなことが言えるかって?
男の俺が言うのもなんだが、こんな美少年が記憶に残らないわけがないと言えばわかってもらえると思う。
整った目鼻立ちに清潔感のある白い肌とスリムな体つき。
えらい美少年がそこにいた。
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