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ロストクロニクル2―13

[468]  五十嵐時  2008-10-10投稿
タクトはその場に膝から崩れ落ちた。
「大丈夫かー」
後ろの方からウェドとパールの叫び声が聞こえる。
「凄いな。ふらふらしてたのに凄い速さだったぞ。どうしてだ?」
タクト自身分からなかった。地面に足がついたのはたったの数回だけだったからだ。
「分からない。おかしいんだ」
倒れたままで弱々しく答えた。
「でも、火事場の馬鹿力でなんとかなったんじゃないの」
本当にそうなのだろうか
あんなボロボロの体で・・・タクトは心の中で思った。
「とにかく俺の家に来い」
左肩にタクトを担ぐと扉の方へ歩いて行った。

ルパス城
「おーい、サーブ、悪い知らせがあるんだが、聞きたいか?」
大男は椅子に座っている少女に話しかけた。
「忙しいけど聞いてあげる。何?」
「お前の造ったR11の一人が消えた。名前は『鎌鼬』」
「まだ十人いるわ」
少女はあまり驚かなかったようだ。
「お前の発明品、また破られたな」
その時、彼らの前に突然黒い煙が立ち込めた。
「ウィッチかしら?」
「やぁ、元気そうだね。サーブとドレー」
黒い煙から出てきたのは黒い服を着て、黒い帽子を被ったいかにも魔女といった風貌の老婆だった。
「どうやらパラスをなめ過ぎていたようだねー」
「まだサソリと鎌鼬だけよ」
サーブは不機嫌に答えた。
「そうかいそうかい、精々全滅しないことを祈るんだねー」
「それより、何しに来たの」
棘のある口調で切り返した。
「なーに、困っとる様だから助けに来てやったのさ。それより、国王陛下にはまだ言わないつもりかい?」
「国王には報告しないわ」
「そうかいそうかい、我ら『三幹部』だけで解決しようと言うのかい」
ウィッチは嬉しそうだ。「おい、サーブ、国王に報告しなくても警戒はしておかないと駄目だぞ」
「警戒?そんなのも要りません。ただ、ちょっと運が悪いだけよ」
少し間を置いて再び話し出した。
「それより、そろそろ『魔導師の村』を制圧したいと思います。『魔導師の村』には私の発明品を送りますが、ドレーさんは意見がありますか?」
ドレーは黙って首を左右に振った。 サーブは気持ちを切り替える為やけに丁寧な口調を使っている。
「ウィッチさんは?」
「私は自分で作ったモンスターでも送っておくよ」
「了解しました」

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