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星の蒼さは 129

[545]  金太郎  2008-10-12投稿
「んぁっ、…陛下いけませんわ。こんな事…兵士に見られでもしたら…」

「…卿!起きて下さい、エカチェリナ・テファロフ卿!」

「あ、ダメです、そんなところきゃあっ!!!」

肩を揺する下士官の声に驚いてエカチェリナは飛び上がった。

「ななななんです!いきなり!なんて無礼な!」

寝間着のまま、掛け布団を胸の前まで手繰り寄せてエカチェリナは叱咤した。

「申し訳ありません!ですが、敵襲です!」

「敵襲…?このアレクサンドルに?…一体どこの命知らずです!?」

世界最大最強、ツァーリ級航空戦艦アレクサンドル。

たった一隻で周囲七百キロの制空権を掌握する、ツァーリ(皇帝)の名を持つ無敵の戦艦。

これに攻撃を仕掛ける等、余程のバカか命知らずである。

「所属部隊は不明ですが、どうやら一月前に輸送騎士隊から奪われたWWのようで…」

「捕獲機?私の【イヴァン】と同世代のWWですか」

「第五騎士団のストルニコフ卿に送られる途中だった新鋭機【ブラーチャ】です」

「ストルニコフ?……わかりました。私が迎撃します。【イヴァン】の準備を」

手早く着替え、出口へ早足で急ぐ。

第五騎士団長トーマ・ストルニコフは【能力者】である。
彼専用機になるはずだった機体。

エカチェリナは何か胸騒ぎを覚えていた。








<よお!また会ったな京一>

土煙を裂いて日本製WW【蟒丸(ウワバミマル)】が現れた。

「吟次ッ!貴様!」

<あのまま仏の仲間入りをしたと思ってたよ。元気そうで安心したわ>

三週間前の『NY攻防戦』で、狩野は親友、二ノ宮吟次から左腕と右足を骨折する重症を負わされている。

「やはり、貴様が糸を引いていたんだな」

<そういうこった。おとなしく小娘を渡せ>

「断る」

蟒丸の対装甲機関銃を突き付けられても狩野は全く動じなかった。

「話が違う!私が全て受け持つ約束です!」

黒いコートの男が喚く。どうやら彼にとっても二ノ宮の乱入は寝耳に水だったようで、ブルーの目を血走らせて激しく抗議した。

「言う通りにすれば、私に真っ先にこの娘が持つ【絶望の白】を見せてくれると約束したはずだ!」

めちゃくちゃな事を言い出した男をちらと目を離した瞬間だった。

<じゃあ、今すぐ見せてやるよ>

さっきまで自分の眉間を捉えていた銃が男に向けられ、爆音を撒き散らして火を吹いた。

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