携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ノンジャンル >> 摩天楼 その22

摩天楼 その22

[374]  river  2008-10-12投稿
リリィはゆっくりとマーチの方を見た。リリィの目に入ったのは大きめのシャツを着た、色の白い、華奢で短髪の青年だった。
一瞬誰だかわからなかった。

リリィは笑わなかった。雨水の滴る髪を拭く。濡れた制服の袖から肌が透けて見えた。滴を拭くリリィをマーチはじっと見つめて言った。
「街をひっくり返しに行くんだ、めちゃめちゃに」
リリィはマーチに視線を向けずにタオルを動かす。マーチは窓の向こうに目をやるが、雨で見えない。
「けど市長の娘のお前がいると邪魔だ。全部パーになる」
リリィは漸く青年の方を見た。
「まさかこんなに居座るとは思わなかったぜ」
「…どうしてそんなことするの?」
聞き取りにくい声だった。「特に理由は無い。ムシャクシャするんだ」
「勝手なのね」
リリィはマーチを睨んだ。「温室育ちのお嬢様からするとそうだね」
嫌味たらしく話すマーチに嫌悪感が湧いてきた。今までにこんな彼は見たことがなかった。

感想

感想はありません。

「 river 」の携帯小説

ノンジャンルの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス