携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 星の蒼さは 130

星の蒼さは 130

[573]  金太郎  2008-10-14投稿
対WWを想定した対装甲弾はたった三発で黒いコートの男の人体を四散させた。

一発目で信じられない程高く吹き飛び、後の二発で、まるで木の葉が舞うように空中を二度行き来した男はあっという間に肉塊と化した。

パッと鮮血が周りに飛び散り、メチャクチャになった部屋に降り注ぐ。

ハルは咄嗟に傍らのアキに覆い被さったが間に合わず、アキはまともにその光景を目の当たりにしてしまった。

「…ぁ…う……あ…」

目を見開き、声も出せずに震えるアキをハルは抱き締めるしかなかった。

「卯月!白雪を連れて早く逃げろ!」

煙の向こうから狩野の叫ぶ声がする。

ハルは放心状態のアキを抱えて出口に駆け出した。

だがそれを漆黒のWW【蟒丸(ウワバミマル)】が阻んだ。

<?白雪アキってのはそいつか>

侍をかたどった黒い巨人のカメラアイに見据えられ、ハルは動けなくなった。







「キャハハハ!!てめえらまとめておっ死んじまえ!!」

中国製WW【天童】に備わる肩の【天帝圧縮粒子砲】二門が轟音と共に地上のアメリカ軍WW部隊に向けて放たれ、四十余りの【ワイルドキャット】が無惨に爆散した。

「クソが!てめえらクズに落とせるこの【天童】じゃねぇんだよ!!」

桜花(インホア)は吠えた。

彼女の気迫に押され、アメリカ軍の地上部隊に動揺が走る。
日本の巡洋艦【蒼風】の援護に向かうアメリカ軍の足止めが目的だが、この分ならホワイトハウスまで陥とせる。

「殺してやッ……ああッ!?」

【天帝圧縮粒子砲】の再装填を確認し、次の一撃を放とうとした時、頭上を襲った衝撃で機体が大きく揺らぎ、舌を噛んだ。

「ッあ!?上!?」

見上げた先、見た事のない銀色の細身のWWが月を背負ってこちらを見下ろしていた。

それが噂に聞く“串刺し”だと気付いたのは、そのWWが機体よりも長い槍を携えているのを見たからだ。

「ちっ、“串刺しエカチェリナ”か。ユアンの野郎は何やってやがんだ!!絶対後で死なす!」

<汚い言葉づかい……。陛下にお聞かせするには忍びないわ>

音声のみで顔はもちろんわからないが、さも汚いものを見る目でこちらを見ているに違いない。

何より自分を見下ろしているというのが全くもって気に入らない。

「アメリカ軍もホワイトハウスもお前を叩ッ斬ってからって訳か」

桜花は【天童】の主武装、二ふりの刀剣を抜いた。

感想

感想はありません。

「 金太郎 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス