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BAD GIRLその?

[579]  ケィ。  2008-10-15投稿

「テメェが儲かるっつったから話に乗ってやったんだろーが!」
「金庫じゃなくても、金目の物くらいあるだろ?」

俺達は不毛な言い争いを続けていた。
そんな場合じゃないのに。

「ねぇ、イかせてくれるんじやなかったの?」

タックに殴られそうになっていた俺を、チェルシーがぐい、と引き寄せた。

「その誤解する言い方止めてくれない?」

俺はそう言ってチェルシーを引き剥がす。
と、タックを見ると、完全に引いてしまっている。

「変態姉弟…」

ああそうか、コイツは俺達を実の姉弟だと思ってたんだった。

まぁいい。良くないけど今はいい。

「じゃあチェルシー、俺と一緒に来るんだな?」

チェルシーはたおやかに笑み、俺の耳に唇を寄せる。

「その前に一つだけ聞いてもいいかしら?
どうして私を助けに来たの?
やっぱり、あの事があったから?」



「アンタが俺なんかに惚れないってのはわかってた。
俺はただ、アンタみたいなイイ女と寝たがる男はごまんと居るのに、あんな成金オヤジに独占されてるのが我慢ならなかっただけさ」

…決まった。
じぃん、と余韻にひたる。

しぃん。



あれ?二人とも?


「金庫はねー、こっちよ。一階の壁の中にあるの。
本館には本館で別の金庫があるんだけどね。アイツ、ケチだから財産分けてしまってるの」
「マジで!?何でンな事知ってンだ?」
「フフ、一年もいるとねー、わかっちゃうモノなのよ」
「スゲェ!お供シマス!アネゴ!…」


ふっといてソレってどうなんだよ?
そんなに長い話でも無かったっしょ?

俺は、俺を置き去りにして出て行く二人を見送った。


…じゃなくて。追いかけないと。

俺は、扉の前に転がる警備員(多分先輩の方)につまづきながら、部屋を後にした。


そして、部屋に残されたのは、チェルシーの口紅のついた、吸いさしの煙草が一本。

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