携帯小説!(スマートフォン版)

輪廻

[965]  ケィ。  2008-10-19投稿
「生まれ変わったら何になりたい?」
「そうだな…」

ユキが俺の腕の中で、上目使いに答えを待っている。

「またユキの彼氏になりたい」

ユキは嬉しそうだったが、ワザとむくれて見せる。

「もー、適当なんだから。マジメに答えて。」
「マジ、マジ」

俺はご機嫌取りにユキのオデコにキスをひとつ。
こーゆーのバカップルって言うんだろうな、とどっか妙に冷めた気持ちで。

しかしながらこの世には『クウキ』ってヤツが有り、それを外すと酷く息苦しい。

よって俺は生まれてこのかたずっと、周りと呼吸を合わせて生きて来た。

お陰でカワイイ彼女も出来た。

彼女の唇が求めてる事がわかったので、俺はまたキスをした。

「泊まっていけばいいのに」
「ダ〜メ。朝一でバイト有るし」

ユキはスネて見せる。本気で引き留めようってんじゃなくて、俺を困らせたいだけ。
ホントカワイイ。ユキ。

「明日の晩も来るから。今日より一本早い電車で来る!」
「嬉しい!じゃあ約束!」


ユキのマンションは住宅地にあり、入口はオートロック、住民以外入れない。

だから入口にソイツが立っているのを見た時から、嫌な感じはしていた。
仕事上がりのOLって感じで髪が長く、うつ向き加減。まるでホラー映画の女の幽霊。

俺は気味が悪くなり、足早にそこを離れた。

電灯がまばらな路地で俺は足音が二つ響いてる事に気づく。
俺のスニーカーと、ハイヒールを履いた誰か。

俺の脳裏にさっきの女の姿が浮かんだ。

(んなバカな、あんな奴知らねーし)

俺は自分の想像を否定しながらも歩みを速める。

ザッ ザッ ザッ

カッ カッ カッ

ついてくる。ぴったりと。

ザッザッザッザッザッ

カッカッカッカッカッ

俺はとうとう走り出した。とてもハイヒールで追い付ける速さではない、ハズ――

(振り切れない!?)

俺は思わず振り返った。その瞬間、世にもおぞましい光景が目に飛込んで来た。

ソイツは汗と涎を垂らしながら叫んだ。

「嘘つき!!
ずっと一緒って言ったじゃない!前世でそう言ったじゃないの!」

そのオッサンはハイヒールを履き、スカートをたくし上げながら物凄いスピードで追って来た。
俺は大声をあげ全力で走った。

感想

感想はありません。

「 ケィ。 」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス