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奈央と出会えたから。<253>

[601]  麻呂  2008-10-20投稿

『絵本作家?!俺、てっきり“画家”とか言うのかと思った。』



『あはは。無理だよ、画家なんて。あたしの絵なんて自己流だし。まるで落書きみたいだし。』



謙遜している訳じゃなかった。



本当に、



そう思っていたから。



『そんな風に言うなよ。』



『えっっ?!』



『そんな風に自分を卑下するの、やめろよ。奈央の悪いクセだぜ。自分のコト、そうやって悪く言うトコ。』



聖人に言われてハッとした。



あたしを見るその目が、



いつもと違って見えた。



『‥‥うん。そうだね。あたし、ずっと今まで、自分がポジティブな性格だと思っていたケド、本当は違うのかもね。

自分で自分のコト、全然分かってないんだ。

バカだよね、あたし。』





『‥‥なれるっっ!!』



『えっっ?!』



『奈央は絵本作家になれる!!』



『聖人‥‥‥。』



『夢は、きっと叶うって信じるんだ。

強く信じるんだ。』


びっくりした――



あなたの突然の言葉に――



『ありがとう。聖人に言われたら、本当にそう思えてくる。
夢が‥‥きっと叶うって。』



『もしも、お前が自分で夢を叶えられなかったら‥‥そのトキは、俺が夢を叶えてあげる。』



『えぇっっ?!聖人ってば、魔法使いになっちゃうの?!』


『ハハハ。夢の内容は違ってしまうケド‥‥な。』



『えっっ?!どぉいうコト?!』



一瞬、聖人が何を言いたいのか分からなくて、



あたしは戸惑ってしまった。



『だって、夢って必ずしもひとつじゃないだろ?!』



『う‥‥ん。広い意味で言ったら、いっぱいあるかも‥‥ね。あはっ‥欲張り過ぎかな。』



『じゃあさ、2人の夢ってコトならいいじゃん?!』



―2人の夢?!――




『俺は――』



聖人は何かを言いかけたケド、



『いや、今はまだ言わない。』



直ぐにやめてしまった。



あの後に続く言葉は、



何だったのかな――


ありがとう聖人。



あたし、



夢を見てていいかな?!――



本当は心の中の、



あなたの中の、



夢が叶えられるコトを信じて――

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