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ロストクロニクル3―6

[471]  五十嵐時  2008-10-24投稿
「何故呼ばなかったんですか?」
タクトが聞いたが、その人物はまるで何かを思い出した様な表情を浮かべた。
「そうだ!自己紹介がまだだったな。忘れとったわい。私の名前は、ミュークっていうんだ。このリコード学校の校長をしている。よろしくな」
タクトたちは唖然とした面持ちでミュークの顔を見つめていた。もう何度「今更」という言葉が頭を巡っただろう。しかもこのタイミングで・・・
「タクトです。もう一人の男の子がウェドで、この女の子がパールです・・・」
タクトは精一杯の返答をした。
「そうか、そこからだったか。何故呼ばなかったのか・・・当時、国王は、もうひとつの神が授けた力『科学』の圧倒的なまでの勢力を前に自信を失い、『不死鳥』の力を信じられなくなってしまっていたんじゃ。だから、今更『不死鳥』を呼び覚ましても意味が無いと思い込み、自分の家臣たちまでも信じられなくなってしまい、最後には国王は部屋に閉じ籠ってしまわれた」
「なんて情けない国王様だ」
ウェドが冷たい口調で過去の国王を貶した。
「今までのミュークさんの話を聞いていると『不死鳥』の復活には『勇者の血』ではなく『国王の血』が必要な様に聞こえるんですが」
不思議そうに聞いた。
「ああ、もちろん『不死鳥』の復活には『国王の血』も必要だ。まぁ、最後まで話を聞いてちょうだい」
すると、ミュークはひとつため息の様な深呼吸をすると、また語り始めた。
「そんな国王を見兼ねた三人の若者たちが立ち上がった。名前さえも今となっては分からんがな・・・その三人は今の国王を降ろし、別の国王を立てるという計画を立てた」
「そんな方法で本当に大丈夫なんですか?」
今度はパールが質問した。
「もちろん、絶対の自信があった訳じゃないと思う。だけど、それ以外に方法が無かったんだと思う・・・話を戻そう。三人は王城に潜入し、国王を暗殺した。そして、その瞬間に王位継承第二位の王子が国王となった」
「なんか、凄いことしたんだな」
ミュークは黙って頷くと続けた。
「次に若者たちは王子の元へ行き、事情を説明し、城の屋上にある石盤の間へと連れて行こうとした」
石盤の間?

「石盤の間とはパラス城にある『不死鳥』を復活させる為の大きな板状の石のことじゃ」
ミュークが心を悟った様に答えてくれた。
「でも、問題が起こったの」

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